沖縄の離島・南風原島。島で生まれ育った比嘉大介(福士誠治)は1年ぶりに故郷へと戻ってきた。だが、再会した幼なじみの仲村凉子(長澤まさみ)からは笑顔が消えていた。すべての始まりは、20年前の春に遡る。
20年前、島に有名なピアニストの森下由起子(田中美里)がやって来た。由起子の弾くピアノの音に魅せられる島民の中に、ウミンチュ(漁師)の仲村龍二(佐々木蔵之介)の姿があった。由起子に惹かれていった龍二は、病気の彼女のためにお守りとなるサンゴを取りに海に行き、危険を冒して手に入れたサンゴを由起子に贈る。やがて恋に落ちたふたりは結婚するが、由起子は娘の涼子を産んだあとで病のためにこの世を去り、島には龍二と涼子だけが残された。
島にいる同じ歳の子供は涼子と大介、上原一也だけで、3人はまるで兄妹のように育った。成長すると、涼子と大介は島を離れて高校に通い、一也(良知真次)は島でウミンチュの修行を続けていた。春休み、ふたりが島に戻り久々に3人の時間を過ごす中で、涼子は看護師を目指し、島を出るつもりであることを明かす。
那覇の大学に進学する大介の送別会が開かれた夜、一也は恋の歌「トゥバラーマ」を歌い出し、涼子もそれに声をあわせていく。歌をつうじてお互いの気持ちを確かめた一也と涼子は、その夜、結ばれるのだった。
涼子は一也の妻として島に残ることを考えはじめ、一也は龍二に結婚の許しを求めるが、龍二はまだ若いことを理由に反対する。なんとか龍二に認めてもらおうとする一也は、かつて龍二が由起子のためにしたように、サンゴを取りに海へと向かう――。
群青 愛が沈んだ海の色
監督:中川陽介
出演:長澤まさみ 福士誠士 良知真次 田中美里 佐々木蔵之介 ほか
2009年6月27日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー
2009年/カラー/シネマスコープ/DTSステレオ/119分
深く青い海に浮かぶ、沖縄の小さな島で、父は妻を失い、娘は最愛の人を亡くした──。
『世界の中心で愛をさけぶ』『タッチ』『涙そうそう』など、主演作が大ヒットを記録し、日本を代表する若手女優のひとりとなった長澤まさみの最新主演作『群青 愛が沈んだ海の色』は、父と娘2代にわたる、痛みと再生の物語だ。
長澤まさみが演じるのは、沖縄の小島で育った少女・涼子。爽やかな笑顔が魅力の長澤が、本作では愛する人を亡くし、笑顔と言葉を失うヒロインに挑んだ。その憂いと絶望を感じさせる表情は、女優・長澤まさみの新境地を感じさせる。
涼子の父親・龍二には『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』、ドラマ「ギラギラ」などの実力派・佐々木蔵之介。不器用だが優しさを秘めた“島の男”を繊細な演技で巧みに表現している。凉子の幼なじみの大介に若手実力派の福士誠治。同じく幼なじみの一也に舞台を中心に活躍し、今回が初の映画出演となる良知真次。それぞれに涼子を想い守ろうとする3人の男を、3人の男優が三者三様の魅力たっぷりに演じている。そして涼子の母・由起子役で映画に奥行きを与えているのは田中美里。そのほか、一也の母に洞口依子、主人公たちを見守る居酒屋の主人に玉城満らが脇を固める。
監督は、デビュー作『青い魚』以降、一貫して沖縄を舞台に映画を撮り続け、国際的に高く評価されてきた中川陽介。本作では初めて映画の撮影がおこなわれる渡名喜(となき)島を舞台に選び、美しい映像で物語を紡いでいった。
映画のエンディング曲「星が咲いたよ」は、中川監督の要望によりシンガー・ソングライターの畠山美由紀が担当。優しい歌声で物語のラストを美しく締めくくる。
- 仲村涼子:長澤まさみ
- 比嘉大介:福士誠治
- 上島一也:良知真次
- 上原和恵:洞口依子
- 宮城守:玉城満
- 比嘉俊介:今井清隆
- 比嘉瑛子:宮地雅子
- 仲村(森下)由起子:田中美里
- 仲村龍二:佐々木蔵之介
- 監督:中川陽介
- 原作:宮木あや子「群青」(小学館刊)
- 脚本:中川陽介/板倉真琴/渋谷悠
- プロデューサー:山田英久/山下暉人/橋本直樹
- アソシエイトプロデューサー:三輪由美子
- ラインプロデューサー:森太郎
- 撮影:柳田裕男
- 照明:宮尾康史
- 録音:岡本立洋
- 美術:花谷秀文
- 編集:森下博昭
- 音響効果:勝俣まさとし
- 装飾:谷田祥紀
- 衣裳:沢柳陽子
- 制作担当:関浩紀
- 助監督:橋本光二郎
- 音楽:沢田穣治
- 主題歌:畠山美由紀「星が咲いたよ」
- 企画:エキスプレス/オーシーシー
- 制作プロダクション:ウィルコ
- 製作:「群青」製作委員会(バンダイビジュアル/東宝/エキスプレス/オーシーシー/小学館/テレビ東京/ワイズコーポレーション/ウィルコ/ジェー・ピー/沖縄タイムス社)
- 配給:20世紀フォックス映画