15歳の穂波佑介(山田健太)は、父の軍司(石黒賢)、母の美永子(石村とも子)とともに、東京から山梨の山間の街へと引っ越してきた。母が病弱なため、空気の綺麗なところへ引っ越すことを父が決意したのだ。
この地でペンションを開く父は、閉園したブドウ園から安くワインを譲ってもらうため、成島家を訪ねる。父の手伝いでついていった佑介は、ワインを運ぶ途中、ガラスの割れる音を耳にする。見上げた佑介の目に入ってきたのは、割れた窓ガラスと、その向こうに立つひとりの少女の姿。これが、佑介と梨生(りお・多岐川華子)の出会いだった。
その数日後、佑介は街で男連れで歩いている梨生に声をかけられる。誘われるままにその夜、成島家を訪れた佑介だったが、気まぐれな梨生の態度に戸惑い、部屋を飛び出してしまう。
その後も梨生はなにかと佑介にかかわりを持とうとしてくる。ある日、ペンションを訪れた梨生に「私のこと嫌い?」と訊かれた佑介は「はい」と答える。そんな佑介に梨生はさらに興味を持っていく。
継母の文(麻生祐未)と暮らす梨生は、亡くなった両親への想いや、父の残した借金返済のため想い出の残るブドウ園や家まで手放すことを決めた文への憤りから、文にことごとく反発し、心の隙間を埋めるように奔放な生活を送っていた。
ある日、佑介は父・軍司の車に乗り込む梨生の姿を見てしまう。梨生の家を訪れて問いただす佑介に、梨生は答える。「私から誘いました…言ってる意味、わかるよね」……。
初恋 夏の記憶
監督:野伏翔
出演:多岐川華子 山田健太 麻生祐未 石黒賢 ほか
2009年3月、渋谷シアターTSUTAYAにてロードショー公開
都会から美しい山と海に囲まれた街へと引っ越してきた少年が出会った、美しい少女。奔放な彼女に戸惑いながらも、少年は彼女に惹かれていく。それは、少年の初めての恋だった……。
『MUSASHI』『ガッツ伝説 愛しのピット・ブル』の野伏翔監督が、19世紀ロシアの文豪・ツルゲーネフの名作「初恋」を現代の若者たちの青春映画として蘇らせたのが『初恋 夏の記憶』だ。
舞台演出家としてこれまで数々の古典文学を原作とした作品を手がけてきた野伏が、その経験の蓄積を活かし、現代の日本へと舞台を移し、時代や場所が変わっても人々が心に抱く普遍的な想いを描いた作品として『初恋 夏の記憶』は完成した。
原作のヒロインのイメージを大切にしたいとこだわった野伏監督が、1000人を越える候補者の中から見出したのは、女優・多岐川裕美の実娘である多岐川華子。多感な少女の危うさと時折見せる妖艶さをを併せ持った彼女は、まさにヒロイン・梨生(りお)そのものだ。
そして梨生に恋する佑介役には『バッテリー』に主演し幅広い層から支持される山田健太。初めての恋に揺れる佑介を瑞々しく演じている。
さらに、佑介の父には石黒賢、梨生の継母には麻生祐未。そのほか、竜雷太、島かおり、石村とも子というベテラン陣が脇を固め、若いふたりを支える。
音楽はミュージカル「美少女戦士セーラームーン」以来、野伏とコンビを組む小坂明子。オリジナルのシンフォニーが美しい映像と融合し、究極の純愛物語をいっそう盛り上げていく。
- 多岐川華子
- 山田雄太
- 麻生祐未
- 島かおり
- 石村とも子
- 中野勇士
- 和田幸奈
- 神崎里奈
- 中尾有希
- 竜雷太(友情出演)
- 石黒賢
- 監督:野伏翔
- 原作:イワン・セルゲーエヴィッチ・ツルゲーネフ「初恋」
- 脚本:宇治田隆史
- 製作・企画:野伏翔
- 企画:平尾忠信/清水俊之
- 企画協力:井上智之/中尾充
- プロデューサー:築地米三郎
- 協力プロデューサー:丸目卓也/永田陽介/永島晶/鈴木智
- ラインプロデューサー:石村昌一
- 撮影:渡辺厚人
- 照明:矢部一男
- 録音:塩原政勝
- 映像技術:関根泰三
- サウンドデザイン:KIM YOUNG IL
- NLE:小俣孝行
- 監督補・編集:小美野昌史
- ヘアメイク:坂本美由紀
- 衣裳:菊田光次郎
- 音楽・ピアノ演奏:小坂明子
- 挿入曲:「初恋」「夏の記憶」(作曲・ピアノ演奏:小坂明子)
- 制作協力:ゼルプロモーション株式会社/株式会社ジェイ・ブイ・ディー
- 製作・配給:夜想会シネマプロジェクト