インスタント沼
監督：三木聡
出演：麻生久美子 風間杜夫 加瀬亮 松坂慶子 ほか
２００９年５月、テアトル新宿、渋谷HUMAXシネマほか全国ロードショー
２００９年／カラー／アメリカンビスタサイズ／ＤＴＳステレオ／１２０分
『亀は意外と速く泳ぐ』をはじめ、これまでになかったタイプの映画を送り出し、テレビドラマ「時効警察」シリーズも高視聴率を記録するなど、いま日本が、いや世界が注目を集める映画監督・三木聡。オダギリジョーを主演に迎え大ヒットとなった『転々』に続く待望のオリジナル劇場作品『インスタント沼』がついに完成した。
仕事を辞めたＯＬのハナメ。まだ会ったことのない父親を捜しにいって出会ったのは、胡散臭い骨董屋の“電球”だった――。
主人公のハナメを演じるのは麻生久美子。『夕凪の街 桜の国』で２００７年ブルーリボン賞主演女優賞を受賞、その後も話題作への出演が続き、いまや日本映画界を代表する若手女優のひとりだ。三木監督とは「時効警察」でもタッグを組んでいる彼女が、ジリ貧ＯＬを魅力たっぷりに演じる。
ハナメに大きな影響を与えていく骨董屋の“電球”には名優・風間杜夫。パンクロッカーのガスには若手実力派の加瀬亮。三木作品初出演となるふたりが、三木ワールドの中でこれまでのイメージを打ち破る怪演を見せている。
そのほか、松坂慶子、相田翔子、白石美帆、宮藤官九郎ら豪華俳優陣と、三木作品にはかかせない笹野高史、ふせえり、岩松了、温水洋一、松重豊ら個性派が脇を固める。
主題歌は、人気シンガー・YUKIがこの作品のために「ミス・イエスタデイ」を書き下ろした。
『インスタント沼』というタイトルには大きな謎が隠されている。その謎は映画を観てのお楽しみ。『インスタント沼』は、謎と笑いが満載の、予測不能のエンターテイメントだ。
沈丁花ハナメ（麻生久美子）は、ナマクラで単調な生活を送っている出版社のＯＬ。雑誌の編集長をつとめてはいるが、その雑誌は部数低迷で上司から苦情ばかりの毎日だ。
さまざまなテコ入れも空しく、とうとう雑誌の休刊が決定した。それを機にスッパリと会社も辞めてしまたハナメは、身の周りのものもきれいさっぱり処分してしまい、ジリ貧な人生をリセットしようとする。
そんな矢先、母の翠（松坂慶子）が病院に運ばれたという連絡が入る。母は池に落ちて意識不明のまま。ハナメは刑事から、池で発見された30年前の母が書いた手紙を渡される。その手紙を読んでビックリ、ハナメが８歳のときに出て行った父親はほんとの父親ではなく、実の父親は手紙の宛名の“沈丁花ノブロウ”という男だというのだ！
どうやら“沈丁花ノブロウ”は母の遠い親戚で、親戚の間でも鼻つまみ者らしい。手紙の住所を頼りにノブロウを探すハナメがたどり着いたのは、怪しい風貌の“電球”（風間杜夫）という男が営む胡散臭い骨董屋“電球商会”。その電球こそ沈丁花ノブロウらしいのだが……。
電球商会に出入りするパンクロッカーのガス（加瀬亮）から電球と似てると言われて複雑な心境のハナメ。手紙のことを言い出せないまま電球商会に通い、和歌子（相田翔子）に頼まれた骨董品探しを手伝ううちに、電球やガスとも親しさを増していく。
やがて骨董にも興味を持ちはじめたハナメは自分の店を開く。そして電球商会を閉めて旅に出るという電球は、ハナメにすごい宝が眠るという蔵の鍵を売りつけるのだが……。
