芝二郎(佐藤二朗)は、これまで生まれ育った町を一歩も出ずに、半径3キロ以内だけで生きてきた35歳の無職。実家で両親とともに暮らしていた二郎だったが、大きな変化が彼のもとを訪れた。父親の良男(笹野高史)が急死し、母親の鞠子(藤田弓子)も家を出たまま姿を消してしまったのだ。
良男の四十九日も親戚まかせで鞠子は帰ってこない。鞠子は二郎に探してもらいたいらしく、居場所のヒントを書いたハガキを毎日のように送ってくるのだが、二郎はそれに無視を決め込み、自室でブログを更新するだけの生活を続けていた。
ある日、買い物に出た二郎は、赤いスカーフを巻いたマメシバの子犬と出会う。二郎が追い払ってもその子犬はついてきて、ついに家までやってきてしまった。鞠子からのハガキによると、その子犬の名は一郎。どうやら鞠子が自分を探させるために送り込んできたらしい。犬を飼う気などさらさらない二郎は、ペットショップ店員(高橋直純)の紹介で、犬を引き取ってくれる里親探しの会に出席することになった。
従兄弟で郵便局員の陽介(高橋洋)とともに里親探しの会に出た二郎だが、参加者の輪にとけ込めず、一郎の引き取り手のみつからないまま帰ってしまう。
しかし、会の主催者の可蓮(安達祐実)はそんな二郎を気をかけてくれる。やがて陽介や事情を知った可蓮に背中を押され、二郎は一郎とともに母親探しに出発する。それは、二郎にとって初めての“旅”だった――。
幼獣マメシバ
監督:亀井亨
出演:佐藤二朗 安達祐実 渡辺哲 笹野高史 藤田弓子 ほか
2009年6月13日(土)より渋谷シアターTSUTAYAほか全国ロードショー
2009年/カラー/シネスコサイズ/DTSステレオ/106分
家から半径3キロ以内だけで生きてきた35歳のニート男。失踪中の母親が彼のもとに送り込んできたのは、1匹の子犬。母親を探すため、ひとりと1匹の“旅”が始まった……。
言葉を話すフレンチブルドッグと青年の交流を描いた『イヌゴエ』、子猫に翻弄される堅物サラリーマンが主人公の『ネコナデ』に続く、心温まる動物ムービー第3弾が完成した。中年男と可愛いマメシバの子犬のコンビが活躍する『幼獣マメシバ』だ。
主人公の二郎を演じるのは、テレビドラマのバイプレイヤーとして人気で、映画『20世紀少年<第2章> 最後の希望』での怪演も記憶に新しい佐藤二朗。劇団“ちからわざ”主宰で、脚本家、監督としての顔も持ち、熱狂的なファンをじわじわと増やし続けている異色の個性派が満を持して映画初主演。理屈ばかりこねる中年ニートという役を独特の雰囲気で好演している。
共演には、安達祐実がおせっかいなヒロイン・可蓮役でチャーミングな魅力を見せるほか、二郎の従兄弟でよき理解者の陽介に演劇界のホープ・高橋洋、謎の犬好き男にお笑いコンビ“笑い飯”の西田幸治、ペットショップ店員に人気歌手・声優で本作では主題歌も歌う高橋直純、そして二郎の両親にはベテランの藤田弓子と笹野高史という、豪華な顔ぶれが揃った。もちろん、子犬の一郎の名演技も見逃せない。
原案・脚本は『イヌゴエ』『ネコナデ』も手がけた永森裕二。監督は海外で高い評価を受けた『心中エレジー』やドラマ版「ネコナデ」など幅広い作品を手がける亀井亨。本作では丹念な演出で登場人物の心をときに温かく、ときにシビアに描き出す。
子犬の一郎とともに一歩を踏み出す二郎のささやかな冒険。それはたくさんの微笑みと勇気をくれる。
- 佐藤二朗
- 安達祐実
- 渡辺哲
- 高橋洋
- 高橋直純
- 西田幸治(笑い飯)
- 志賀廣太郎
- 角替和恵
- 渋谷琴乃
- 佐藤仁美
- 菅田俊
- 石野真子
- 笹野高史
- 藤田弓子
- 監督:亀井亨
- 原案・脚本:永森裕二
- プロデューサー:森角威之
- ラインプロデューサー:岩城一平
- 撮影:中尾正人
- 照明:白石宏明(L.S.C.)
- 録音:甲斐田哲也
- 美術:西村徹
- ヘアメイク:河野顕子
- 衣裳:永井伸子
- 助監督:芦塚慎太郎
- 制作担当:齊藤光司
- ドッグトレーナー:ZOO動物プロ
- スチール:山本千里
- メイキング:馬車馬企画
- WEB制作:伊藤あやこ
- AP:飯塚達介
- 音楽:野中“まさ”雄一(HEAD OFF,INC.)
- 主題歌:高橋直純「あの丘へ」
- 制作プロダクション:杜方
- 製作:AMGエンタテインメント/アミューズメント総合学院/tvk/テレ玉/チバテレ/三重テレビ/KBS京都/サンテレビ/NTTぷらら/竹書房/デスペラート/ギガネットワークス
- 企画・配給:AMGエンタテインメント