死に瀕したひとりの女がいた。“701”の番号の付いた囚人服を着たその女は、まるでボロ布のように吊るされながら、それでも眼には力が残っていた。「まだ死ねない……恨みを晴らすまでは」。
そのずっと前、女が幸せだったころ。結婚を間近に控えた松島ナミ(水野美紀)は、恋人のケンイチ(ディラン・クォ)が留守中に、家に押し入ってきた怪しげな男女に襲われた。ケンイチの父・ナカイ教授を狙うその連中は、ケンイチの命と引き換えに、ナミにナカイ教授とケンイチの妹を殺させるのだった。
ナミは殺人犯として逮捕され、女子刑務所に送られた。そこで待っていたのは、女囚たちのボス格であるエリカ(夏目ナナ)による暴力の洗礼と、刑務所を支配する所長の好色な目だった。面会に来たケンイチから憎悪の言葉を浴びせられ、生きる希望を失ったナミ。しかしナミは、暴力が支配する刑務所の中で、たくましく生き抜いていく。
生き延びるためにほかの女囚たちと闘い、ついにエリカを殺したナミは、所員による体罰をうけ、瀕死のまま森に打ち捨てられた。そのナミを助けたのは、“死体収集人”と呼ばれる謎の老人(サイモン・ヤム)だった。自分の運命を変えた者たちへの復讐を誓うナミは、老人のもとで過酷な鍛錬を積み、やがて日本刀を手に街へと舞い戻る。
街へ戻ったナミは、大学の医学部の同級生・サヨ(ペギー・ツァン)が事件の黒幕であることを察する。そして復讐を開始する中で、ナミは、一切の記憶を失ってジョンオー(石橋凌)のバーで働くケンイチと再会するのだが――。
さそり
監督:ジョー・マ
出演:水野美紀 ディラン・クォ 石橋凌 夏目ナナ ほか
2009年8月8日(土)より銀座シネパトス、シネマート六本木ほか全国順次ロードショー
2008年/カラー/35mm/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/100分
篠原とおるのコミックを梶芽衣子の主演で映画化した『女囚さそり』シリーズは、クエンティン・タランティーノの『キル・ビル』やパク・チャヌク監督の『親切なクムジャさん』に多大な影響を与えるなど、日本が世界に誇る傑作だ。いまだカルトな人気を保ち続ける名シリーズが、さらにセクシーに、さらに切なく、激しくなって現代に蘇る。
今回の映画化では『雨音にきみを想う』などのジョー・マ監督をはじめ、香港のスタッフとキャストを起用。そこに日本のキャストが参加するというスタイルにより、これまでとは一味違うアクション・ムービーとして新生『さそり』が完成した。
今回、悲劇のヒロイン・ナミを演じるのは水野美紀。『ハード・リベンジ、ミリー』シリーズなどアクション女優としての活躍が目覚ましい彼女が、香港アクションに果敢に挑むとともに、これまでのイメージを打ち破る大胆なシーンも演じる。そして『鎧 サムライゾンビ』などのセクシー女優・夏目ナナが水野美紀との迫力のバトルを体当たりで熱演。さらに、日本からは貫禄の演技を見せる国際派の石橋凌、台湾から甘いマスクが魅力のディラン・クォ、香港から伝説のアクションスターであるブルース・リャンのほか、サム・リー、エメ・ウォンら人気俳優が参加、まさにアジアのスターたちが顔を揃えた。
主題歌はもちろん『女囚さそり』の象徴「怨み節」。『キル・ビル』でも使われた名曲が話題のシンガー・中村中の歌で復活する。
アジアの才能が集結した異色の日本映画として完成した『さそり』は、世界7ヶ国以上での公開も決定。2009年、『さそり』が世界を席巻する。
- 松島ナミ:水野美紀
- ケンイチ:ディラン・クォ
- チョンロン:サム・リー
- 赤城:ブルース・リャン
- セイコ:エメ・ウォン
- ジョンオー:石橋凌
- エリカ:夏目ナナ
- 所長:ラム・シュ
- 死体収集人:サイモン・ヤム
- 監督:ジョー・マ
- 原作:篠原とおる
- 脚本:ジョー・マ/ファイア・リー
- 製作:松下順一
- エグゼクティブ・プロデューサー:加藤東司
- プロデューサー:米山紳/サム・レオン
- アソシエイト・プロデューサー:福島重幸
- ライン・プロデューサー:小貫英樹/サム・ガーボウ
- 撮影監督:ジョー・チャン
- 美術:サイモン・ソー
- 編集:アズラエル・チャン
- 衣裳:フェーベ・ウォン
- アクション監督:ウォン・ワイファイ
- 音楽:吉川清之
- 主題歌:中村中「怨み節」
- 制作協力:Same Way Production Ltd.
- 製作・配給:アートポート