物語は昭和30年代から始まる。巨大な航空会社・国民航空の社員・恩地元(渡辺謙)は労働組合の委員長をつとめ、職場環境の改善を目指していた。だが、その結果として会社から恩地に与えられたのは、懲罰人事といえる僻地への海外赴任であった。パキスタン、イラン、ケニアと、会社は恩地を転々と異動させる。そんな境遇にあっても恩地は自分の信念を曲げず、赴任先での職務をまっとうしようとするのだった。
一方、かつて恩地の盟友として共闘していた同僚の行天四郎(三浦友和)は、組合を抜けてエリートコースを歩んでいた。客室乗務員の三井美樹(松雪泰子)は、恩地に心を惹かれつつも、対照的な道を歩む行天の愛人となっていく。
行天の裏切りや、妻・りつ子(鈴木京香)ら家族と離れて過ごす赴任生活に焦燥と孤独をつのらせてきた恩地は、10年を経てようやく本社への復帰を果たしたが、不遇な日々は続いていた。さらに、かつての組合の同志たちの苦境を目の当たりにし、自らの責任を深く感じるのだった。
そんな中、国民航空のジェット機が御巣鷹山で墜落事故を起こした。日本航空史上最大規模となる事故の発生に、恩地は救援隊として現地に赴き、未曾有の悲劇を前に苦悩する。
政府は国民航空の建て直しをはかるべく、優れた実績を持つ経営者の国見正之(石坂浩二)に国民航空会長への就任を要請する。新体制となった国民航空で、恩地は新設された会長室長に抜擢され、国民航空再スタートのために立ち上がるのだったが……。
沈まぬ太陽
監督:若松節朗
出演:渡辺謙 三浦友和 松雪泰子 鈴木京香 石坂浩二 ほか
2009年10月24日(土)より全国東宝系ロードショー
2009年/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/202分(10分間の途中休憩あり)
新聞記者出身で、社会性を持った作品で人気の作家・山崎豊子。「白い巨塔」「華麗なる一族」など多くの作品が映像化されている中で、時代背景や設定などから映像化不可能と言われてきた傑作『沈まぬ太陽』が、ついに映画化を果たした。
巨大企業・国民航空で組合活動をおこなったために苦難の道を歩むことになる主人公・恩地元。やがて日本の航空史上最大規模の事故が発生し大きく会社が揺れ動く中で、恩地は政界をも巻き込む大きな渦の中に身を投じることになる……。
原作者も映像化を熱望していた本作品の映画化は日本映画異例の規模のプロジェクトとして進められ、日本映画界を代表するスタッフ・キャストが集結した。
監督は『ホワイトアウト』で従来の日本映画に類をみないスケールの作品を完成させ大ヒットに導いた若松節朗。『陽はまた昇る』で高度成長期の日本人を描いた西岡琢也の脚本を得て、9年ぶりとなる大作映画の演出に辣腕をふるう。
主人公の恩地を演じるのは、日本だけでなく『ラストサムライ』『硫黄島からの手紙』などでハリウッドでも活躍する渡辺謙。そして恩地の同僚・行天四郎にベテランの三浦友和、恩地と行天の間で揺れる三井美樹に活躍の目覚ましい松雪泰子、恩地の妻・りつ子には日本映画界に欠かせない存在となった鈴木京香、企業再建に取り組む国見正之に貫禄の存在感を見せる石坂浩二。さらに豪華俳優陣が顔を揃え、まさにオールスターキャストと呼ぶべき作品となった。
昭和30年代から60年代という激動の時代に、世界各地に舞台を移しつつ繰り広げられる重厚な大河ドラマが、原作発表から10年を経て、3時間を越える大作映画として登場する。
- 渡辺謙
- 三浦友和
- 松雪泰子
- 鈴木京香
- 石坂浩二
- 香川照之
- 木村多江
- 清水美沙
- 鶴田真由
- 柏原崇
- 戸田恵梨香
- 大杉漣
- 西村雅彦
- 柴俊夫
- 風間トオル
- 山田辰夫
- 菅田俊
- 神山繁
- 草笛光子
- 宇津井健
- 小林稔侍
- 加藤剛
- 監督:若松節朗
- 原作:山崎豊子「沈まぬ太陽」(新潮文庫刊)
- 脚本:西岡琢也
- 製作総指揮:角川歴彦
- 製作:井上泰一
- 企画:小林俊一
- エクゼクティブプロデューサー:土川勉
- プロデューサー:岡田和則/越智貞夫/井口喜一
- 撮影:長沼六男
- 美術:小川富美夫
- 照明:中須岳士
- 録音:郡弘道
- 編集:新井孝夫
- 音響効果:柴崎憲治
- 装飾:小池直美/三浦伸一
- キャスティング:山口正志
- 監督補:杉山泰一
- 音楽:住友紀人(オリジナル・サウンドドラック:Sony Music Japan International)
- エンディングテーマ:福原美穂「Cry No More」(Sony Music Records)
- 製作:「沈まぬ太陽」製作委員会
- 製作プロダクション:角川映画
- 配給:東宝