
アメリカから遠く離れたサイタマ県のフクヤ市で、世界へメッセージを届けようとするラッパーたち。『SR サイタマノラッパー』は、そんな若者たちを主人公にした青春映画だ。各方面から絶賛を浴び、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリに輝いた作品が、ついに公開される。
監督は、自主製作の短編『OBSESSION』『SEVEN DRIVES』が注目を集め、2006年に『JAPONICA VIRUS』で長編劇場映画デビューを果たした入江悠。本作は、2008年にロンドンで上映され絶賛を浴びた短編をもとに大幅リライトし、埼玉県深谷市の深谷シネマ(深谷シネマコミッション)の全面協力を得て長編映画化を果たした。全編ほぼワンシーンワンカットによる撮影、オリジナルのヒップホップ・サウンド、随所に挿入されるラップなど、映像・音両面において入江監督の新境地を見せている。
出演は、主人公のニートラッパー・IKKUに舞台で活躍する駒木根隆介を抜擢。そしてヒロインの千夏には、バラエティでも人気のセクシーアイドル・みひろ。さらに『死神の精度 SWEETPAIN』『サッドヴァケイション』の杉山彦々、水澤伸吾、奥野瑛太、益成竜也など、期待の若手俳優陣が顔を揃えている。
音楽は、入江監督作品を多く手がける岩崎太整が担当。オリジナリティあふれるヒップホップ・サウンドが映画の世界を彩る。T.K.D やRTR というヒップホップ・アーティストたちによる、ユニークで強烈なインパクトを残すリリック(歌詞)にも注目だ。
地方都市の青年たちの姿をヒップホップに乗せてシニカルに、しかし温かく描いていく『SR サイタマノラッパー』は、観る者の心に切ない感動を刻み付けるに違いない。

北関東はサイタマ県フクヤ市に、世界的なラッパーになることを夢見る6人の若者たちがいる。その名もSHO-GUNG!
来月には初のライブをやろうと盛り上がるが、メンバーのIKKU(駒木根隆介)は家に帰れば家族からも邪険に扱われるニートだ。TOM(水澤伸吾)はおっぱいパブのバイト店員で、MIGHTYは実家を手伝い地元の名産ブロッコリー作りに励んでいる。バイトや農作業で忙しいTOMやMIGHTYは、IKKUがライブの方向性を相談しようとしてもいまひとつ盛り上がらない。
「西海岸系でいくか、東海岸系でいくか」「海ないっすけど、サイタマ」
とりあえず、難病で静養中の地元の伝説的トラックメイカー・竹田先輩(上鈴木伯周)にライブに向けた曲作りを依頼するIKKUたち。
そんなある日、IKKUがスーパーマーケットに行くと、レジに高校の同級生だった千夏(みひろ)の姿があった。ラッパースタイルのIKKUを「デブダンサー?」と笑う千夏。高校を中退して東京に行った千夏は、IKKUやTOMが高3のときにAV女優としてデビューした。その話を聞いてMIGHTYは興味津々だが、IKKUはそれからどうも様子がおかしい。
そんなSHO-GUNGに思わぬ話が飛び込んできた。市のお偉いさんたちの前でラップを披露することになったのだ。しかし、それはIKKUたちに思わぬ結果をもたらすことになる。そして千夏のことが発端となり、SHO-GUNGは次第にバラバラになっていく。
どうなるSHO-GUNG? どうなるサイタマノラッパー?