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作品スチール

TOCHKA

監督:松村浩行
出演:藤田陽子 菅田俊 ほか

2009年10月24日(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー

2008年/カラー/DV-CAM/スタンダード/ステレオ/93分

イントロダクション

 【トーチカ】。もともとはロシア語で「点」を意味するこの言葉は、戦時に建造された防御陣地を指す。外を視認し、火器によって攻撃するための穴だけが開いた、分厚いコンクリートで囲まれた小さな空間。
 北海道・根室半島には、第2次世界大戦末期に国境防衛のために建造され、実際には使用されることのなかったトーチカ群が、終戦から60年以上を経たいまも取り壊されることも、また保護されることもなく、その姿を晒し続けている。映画『TOCHKA』は、この根室半島を舞台に、トーチカに惹かれるようにしてこの地を訪れた男女の偶然の出会いを描いていく。
 出演は、多くの作品で存在感を発揮する日本映画界に欠かせない名優で、『キル・ビル』『ラスト・サムライ』など世界にも活躍の場を広げる菅田俊。そして、『犬猫』の主演で女優として脚光を浴び、『真・女立喰師列伝/草間のささやき 氷苺の玖実』『斬〜KILL〜/ASSAULT GIRL 2』などで鮮烈な印象を残す藤田陽子。静かな会話の中で、次第に互いの内面を浮き上がらせていくようなふたりの俳優の演技は見ごたえ充分だ。
 監督は松村浩行。映画美学校で映画制作を学び、初監督作品『よろこび』が海外の映画祭で高く評価されたのち、2003年京都国際学生映画祭準グランプリを獲得した『YESMAN NOMAN MORE YESMAN』を経て、本作の制作をスタートさせた。
 ほぼワンロケーション、おもな登場人物はふたりだけ、劇中音楽はなくセリフ以外には現場の環境音のみ。現在の映画の主流とは異なったギリギリまで削ぎ落としたような表現は、息詰まるような緊張感をもって、饒舌な作品以上に観客を引き込んでいく。

ストーリー

作品スチール

 日本最東端に位置する、ロシア国境の街・根室半島。寒風が吹きつける中、海岸沿いの荒野をひとりの女(藤田陽子)が歩いている。女は、点在するトーチカに入っては、その小さな穴から外の風景を眺める。そしてトーチカを出ると、また別のトーチカへと入り、同じ行動を繰り返していた。
トーチカのひとつで古いカメラを構え、外の風景を映そうとしたとき、女はファインダーの中に、トーチカに近づいてくる人影を見つけた。女は、しばらくファンインダー越しにその男(菅田俊)の姿を眺めていた。
 大学で戦争遺跡の研究をしており、トーチカの写真を撮っているという女。子供のころこの街で暮らし、トーチカのそばで戦争ごっこをしたという男。ほかに誰ひとりいない荒野でふたりは静かな会話を重ねていく。そんな中、つかの間言葉を荒げた男は「いや、あなただとは思わなかったんです」という言葉を残して、女のもとから立ち去っていった。
 しかし、どうしてもその言葉が気になった女は、男を海岸のそばまで追いかけていく。
「あれはどういう意味だったんでしょう? 誰か、人違いだったということですか?」
 女の問い掛けにも男は理由を語ろうとはしない。
「あなたは戦争遺跡を研究しているんでしょう。これは戦争とはまったく関係ありませんよ」
 やがて男は、トーチカにまつわるある記憶を語りはじめる。戦争とかまったく関係のない、だが男の心に深く刻まれた記憶を――。

キャスト

  • 藤田陽子
  • 菅田俊

  • 上野龍成
  • 上野凌雅
  • モモ・ゴッツ・サッタール

スタッフ

  • 監督・脚本:松村浩行

  • 撮影:居原田眞美
  • 録音:黄永昌
  • 装置:相馬豊
  • 装飾:浦井崇
  • 衣装:居原田眞美
  • 編集:黄永昌
  • 整音:黄永昌
  • スチール:宮本厚志
  • 劇中写真:黄永昌
  • 制作:柴野淳/河合里佳
  • 助監督:大城宏之/石住武史/本間幸子

  • 協力:映画美学校/新茶屋お母婆

  • 撮影協力:根室市/根室市観光協会/根室市歴史と自然の資料館/歯舞漁業協同組合
  • 機材協力:PANASONIC AG-DVX100/パナソニックネットワークサービシズ株式会社
  • 衣裳協力:HAPPYEND

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