日露戦争後の明治39年。日本陸軍は、国防のための日本地図完成を急いでいた。陸軍陸地測量部の測量手・柴崎芳太郎(浅野忠信)は、日本地図最後の空白地点を埋めるため「陸軍の威信にかけて劔岳の初登頂と測量を果たせ」という命令を受ける。立山連峰の劔岳は、その険しさにより、多くの測量部員が挑みつつも、未踏のままであった、
柴崎は、前任の測量手・古田盛作(役所広司)を訪ね、案内人の宇治長次郎(香川照之)を紹介される。妻の葉津よ(宮崎あおい)に励まされて富山に向かった柴崎は、宇治とともに劔岳の調査に入るが、謎めいた行者の言葉以外、登頂への手掛かりすら掴めずに下山する。
そして翌明治40年。いよいよ測量のための登山がおこなわれる。柴崎や測夫・生田信(松田龍平)ら、総勢7人の測量隊は劔岳周辺に三角点を設置していき、ついに劔岳に挑む。しかし、劔岳への道のりの険しさは想像をはるかに越えるものであった。ガレキだらけの尾根、雪崩や暴風雨と、困難に次ぐ困難が測量隊の行く手を阻む。7人の胸中には、命をさらしてまで測量する意味はあるのかという迷いすら、浮かんでいた。
一方、創立間もない日本山岳会も、小島烏水(仲村トオル)らが最新の登山道具を揃え劔岳山頂を目指していたが、その険しさに容易に進めない状況にあった。
柴崎は、いま一度隊に仲間としての結束を訴える。果たして柴崎たちは、無事劔岳山頂に立ち、地図作りの任務を果たすことができるのか?
劔岳 点の記
監督:木村大作
出演:浅野忠信 香川照之 松田龍平 宮崎あおい 仲村トオル 役所広司 ほか
2009年6月20日(土)全国ロードショー
明治40年(1907年)、その険しさから「針の山」、宗教上の理由から登ってはならない「死の山」と言われてきた前人未踏の山に、不屈の闘志、献身の心、友情の絆を信じて挑んだ男たちがいた――。
日本地図完成のための劔岳初登頂という史実をもとに執筆された新田次郎の小説「劒岳 点の記」は、明治人の高潔な生き様を記した新田文学の白眉といわれている。舞台となる明治40年から100年以上を経た2009年、この作品が映画として蘇る。
監督・撮影をつとめるのは『八甲田山』『駅 STATION』『火宅の人』『鉄道員(ぽっぽや)』など、数々の名作を手がけてきた日本を代表するキャメラマン・木村大作。この物語に「失われつつある日本人の持つべき魂の姿がある」と、50年の映画人生をかけて取り組んだ。本作はキャメラマン・木村大作にとって50本目の作品であると同時に、木村の初監督作である。
その木村の真摯な気持ちに応えて、浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮崎あおい、仲村トオル、役所広司と、日本を代表するキャストが揃った。
撮影は、延べ200日以上を費やし、厳しい自然環境劔岳・立山連峰各所でのほぼ順を追ってのロケを敢行、大自然とそこに挑む人間の姿をフィルムに焼き付けた。
音楽は、黒澤明作品をはじめ数多くの映画音楽を手掛ける池辺晋一郎を音楽監督に迎え、木村監督自ら選曲したクラシックの名曲の数々が全篇を彩る。
最高の映画キャスト・スタッフの力が集結してのみ達しうる“奇跡の映画”が、ここに誕生した。
- 柴崎芳太郎:浅野忠信
- 宇治長次郎:香川照之
- 生田 信:松田龍平
- 柴崎葉津よ:宮アあおい
- 小島烏水:仲村トオル
- 古田盛作:役所広司
- 監督/木村大作
- 原作:新田次郎「劔岳 点の記」(文春文庫刊)
- 脚本:木村大作/菊池淳夫/宮村敏正