ゼロ年代全景
監督:星崎久美子/長久允/波多野純平
出演:吉本菜穂子 崔哲浩 津田寛治/本多章一 桃生亜希子 崔哲浩/加藤裕月 杉山文雄 カゴシマジロー ほか
2009年12月12日(土)よりアップリンクXにてロードショー
カラー/ステレオ/DV/『茜さす部屋』75分|『FROG』65分|『ブーケガルニ』58分
2000年から2009年まで、“ゼロ年代”と呼ばれる時代が間もなく終わろうとしている。その終焉の直前となる2009年11月、ゼロ年代に10代から20代半ばを過ごした新鋭若手監督による3本の作品が『ゼロ年代全景』として公開される。
“ご懐妊”を目指す29歳の女性の奮闘をユーモアを込めて描く『茜さす部屋』は、女流監督・星崎久美子の作品。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ。』で注目を集め、舞台でも活躍する吉本菜穂子が、行き詰まりと焦りの中で右往左往する主人公を好演。また、日本映画界に欠かせない個性派俳優・津田寛治の演技にも注目だ。
長久允監督の『FROG』は、雨の降らなくなった世界を舞台にした群像劇。『美代子阿佐ヶ谷気分』などの本多章一、『サムライフィクション』の桃生亜希子ら、日本映画界注目の若手俳優陣が共演する。異常な状況の中で、若者たちはなにを思い、どう行動するのか? 長久允監督が独特のタッチで描いていく。
ある拉致・監禁事件から3年後、事件に関わった人々がふたたび交錯していく過程を息詰まる緊張感で描いた『ブーケガルニ』を監督したのは波多野純平。キャストには劇団“グリング”主宰の杉山文雄、演劇ユニット“TRASHMASTERS”のカゴシマジロー、そして加藤裕月と、舞台で活躍する俳優たちが顔を揃えた。
3作品の監修とプロデュースは、CORNFRAEKSとして映画、演劇と精力的に創作活動に取り組む堀江慶がつとめた。
それぞれ独立して作られた3作品だが、『ゼロ年代全景』として公開されることで、3作に共通したメッセージが浮かび上がってくる。それはゼロ年代に感受性を育んだ世代からの「ゼロ年代とはなんだったのか?」という問い掛けと、その答えだ。
茜さす部屋
派遣社員として働く麻紀(吉本菜穂子)は29歳。小説家を目指すプータローの睦雄と同棲中だ。ある日、麻紀は法事のために久しぶりに実家へと戻った。すでに結婚と出産を経験した妹が子供と遊ぶ姿を見ているうちに、麻紀の中にある感情が生まれた。自分も子供が欲しい! 仕事にも同棲生活にもなんとなく感じている行き詰まり感が、子供さえできれば打ち破れそうな気がする。こうしてその日から、睦雄の子供を妊娠するための、麻紀の奮闘が始まった。果たして懐妊計画の行方は?
FROG
路上に1匹のカエルがいる。そのカエルにカメラを向けるのは、アキオ(本多章一)だ。部屋を埋め尽くすほど写真を撮っているアキオに、友人のメガネは個展を開くことを勧めるが、アキオはそれを断り、金になる見込みもない写真を撮り続けている。
風俗で働くことを決めた女。その女が出会った顔にアザのある風俗嬢。ずっと海に塩を投げ続けている男。雨が降らなくなってから数ヶ月、新興宗教の声が街頭に響くこの世界で、それぞれの人生が交錯していく――。
ブーケガルニ
出版社の新人記者・川島(加藤裕月)は、先輩の結城のもとで勉強することになった。学生時代に結城の記事に大きく影響された川島にとって、それは願ってもないことだった。3年前のその記事は、あるストーカー監禁事件の情報を伝え、その記事によって事件は大きく動くことになった――。その事件以来ゴシップ記事しか書かなくなった結城。いままた事件関係者への取材を進める川島。そして、ある決意を固めた被害者の家族。引き寄せられるように3人の想いは絡まりあっていく。