斉藤清香(さやか:高尾祥子)は、夫の友次とふたり、団地に暮らす専業主婦。流産を経験し、清香も友次も「今度こそ」と子供ができることを望んではいるのだが、夜の生活はうまくいっていない。
そんな清香は、友次が仕事に出かけたあと、ひとり家事をこなす合間に、自分が見知らぬ男に暴行されることを妄想して身をよじらせるのだった。
清香が出席した団地の自治会の最中、集会場に胡散臭げな浄水器のセールスマン・哲平(三浦誠己)が現われた。なぜか哲平のことが気になった清香は、部屋を訪ねてきた哲平を招き入れるとあっさりと浄水器を購入してしまう。そして会ったばかりのふたりは台所で体を重ねる。
真昼の情事のあと、ふたりの身にはいくつかの事件が起こっていた。哲平は営業成績の悪さからクビを言い渡され、別れた妻に息子を引き取ってくれないと持ちかけるが、別の男と新しい人生を送っている妻はそれを拒絶する。一方、清香は夫とのすれ違いや狡猾な女子校生に受けた恥辱、同じ団地に住むおせっかいな近所の主婦の存在に次第に精神をすり減らしていく。
ある日、仕事のトラブルで帰れないという友次からの電話を受けた清香は、哲平の姿を求めて団地内を探し回る。そしてようやく見つけた哲平の手を取ると、部屋で貪るように互いの体を激しく求めあっていく。
知ったばかりの互いの名前を呼び合いながら情事に溺れていくふたり。「ずっとこうしていたい」と清香はつぶやく……。
団地妻 昼下がりの情事
監督:中原俊
出演:高尾祥子 三浦誠己 遠藤雅 志水季里子 白川和子 ほか
2010年2月13日(土)よりユーロスペースにて2週間限定レイトショー
2010年/デジタル上映/75分
かつて日本映画界には“ロマンポルノ”があった! 1971年から1988年まで17年で実に1133本もの作品が作られたロマンポルノは、さまざまな趣向でエロスを追及し、当時の男性たちを熱狂させた。そして滝田洋二郎、中原俊、中田秀夫、金子修介といった監督たちや、白川和子、美保純、蟹江敬三、風間杜夫といった俳優たちが、ロマンポルノから活躍の場を広げていった。日本映画が斜陽を迎えていた中で精力的に新作を送り出し続けたロマンポルノは、現在の日本映画界の礎を築いたと言って過言ではないだろう。
日本映画に歴史を刻むロマンポルノ誕生から約40年を迎える2010年、“ロマンポルノ RETURNS”と題し、往年のロマンポルノを代表する名作のタイトルを冠した“現代のロマンポルノ”がスクリーンに登場する。
その第1弾となるのが『団地妻 昼下がりの情事』だ。ロマンポルノで監督デビューを果たした名匠・中原俊と、かつてプロデューサーとして数多くのロマンポルノ作品に携わった脚本家の山田耕大というロマンポルノに縁の深いベテランふたりが、ロマンポルノ第1作『団地妻 昼下りの情事』をベースに、現代的な要素も加えた新たな“団地妻”の物語を生み出した。
主演は、東京乾電池所属で舞台を中心に活躍する高尾祥子。映画初主演となる本作で美しい裸体を惜しげもなく披露している。共演には多くの作品で個性を発揮する三浦誠己。また、旧作で主演をつとめた白川和子が特別出演しているのも注目だ。
過激な性の情報が溢れている時代だからこそ、もう1度“ロマン”を。男性だけではなく女性も楽しめる“エロスの映画”として“ロマンポルノ RETURNS”は幕を開ける。
- 高尾祥子
- 三浦誠己
- 遠藤雅
- 志水季里子
- 白川和子(特別出演)
- 監督:中原俊
- 脚本:山田耕大
- 企画:成田尚哉
- プロデューサー:西村圭二/千葉善紀
- 製作:「ロマンポルノ・リターンズ」製作委員会
- 配給・宣伝:日活