瀬戸内海に浮かぶ小さな島。その島からは、50年間、毎日同じ時間になるとトランペットの音色が聞こえていた……。
ジャズサークルでトランペットを吹いている神戸在住の大学生・大翔(ひろと:鈴木亮平)は、ある日、父の良雄(陣内孝則)から事故で死んだと聞かされていた祖父・健三郎(財津一郎)が生きていることを知らされる。若いころハンセン病にかかった健三郎は50年前に瀬戸内海の島にある療養所へと隔離され、病気が全快してからも療養所で暮らしていたのだ。
療養所の看護師・ハヨン(MINJI)は健三郎に帰省を勧めているのだが、健三郎はなかなか首を縦に振ろうとしないらしい。大翔は良雄とともに健三郎を説得するため療養所を訪れ、健三郎もついに決心を固めた。
生まれて初めて自宅で祖父と一緒の時間を過ごす大翔は、健三郎に古いレコードを聴かせる。子供のころに偶然に家で見つけた“COOL JAZZ QUINTETTE”というジャズバンドのレコード。それは大翔がジャズを始めるきっかけとなったレコードだった……。
帰省から数日が経ったある日、健三郎は突然家を出てしまった。祖父を探し回る大翔はようやく健三郎を見つけるが、健三郎は家に帰らないという。健三郎に付きあって旅に出ることになった大翔は、その旅の途中、健三郎があの“COOL JAZZ QUINTETTE”のトランペット奏者であり、祖母は同じバンドのピアニスト・野田百合子(MINJI:二役)であったことを知る。
神戸から京都、そして和歌山へ。健三郎はかつてのバンドメンバーを訪ねていく。50年前、果たせなかった約束を果たすため。そして大翔は、いまだに残るハンセン病への偏見と、健三郎と百合子の哀しい過去を旅の中で知っていく。
やがて健三郎と大翔の旅が終わるとき、そこには小さな奇跡が待っていた……。
ふたたび swing me again
監督:塩屋俊
出演:鈴木亮平 MINJI 青柳翔 財津一郎 ほか
2010年11月13日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー
35mm/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR/111分
50年ぶりに神戸へと戻ってきたひとりの老人。かつて果たせなかった約束を果たすため、老人は旅に出る。そして旅に同行する大学生の孫は、まったく知らなかった祖父の哀しい過去に触れていく……。
『ふたたび swing me again』は、ハンセン病を題材とした映画である。ハンセン病は伝染性も低く完治可能でありながら、法律で強制隔離が定められていたこともあり、現在でも偏見や差別が根強く残っている。『ビートキッズ』『0(ゼロ)からの風』などを手がけてきた塩屋俊監督は、企画から5年を費やしてこの難しいテーマに取り組み、心躍らせるジャズをストーリーのもうひとつの軸にしたエンターテイメント作品へと昇華させた。原作と脚本は『ねこのひげ』監督の矢城潤一が手がけている。
主人公・大翔(ひろと)に抜擢されたのは、ドラマ・映画で活躍する期待の新鋭・鈴木亮平。そして監督のラブコールに応えて祖父の健三郎を演じるのは名優・財津一郎。塩屋監督に演技を学んできた鈴木が、恩師の期待に応えて独特の存在感が光るベテラン・財津と堂々とわたりあい、祖父と孫の絆をしっかりと表現している。
大翔と健三郎を見守る看護師・ハヨンと若き日の健三郎の恋人・百合子の二役を演じるのは『252 生存者あり』のヒロイン役で注目を集めたMINJI。陣内孝則と古手川祐子という幅広い役どころをこなす実力派が大翔の両親を演じる。
さらに、健三郎のかつてのバンド仲間には、唯一無二の軽妙さで人気の藤村俊二、クレイジーキャッツのメンバー・犬塚弘、歌手から俳優へと転進を遂げた佐川満男と、豊富なキャリアを持つエンターテイナーが顔を揃えた。劇中のライブシーンでは、日本を代表するサックス奏者・渡辺貞夫が加わり、豪華な演奏シーンが生み出されている。
- 貴島大翔(ひろと):鈴木亮平
- ハヨン/野田百合子:MINJI
- 貴島健三郎(青年時代):青柳翔
- 村瀬由起夫:藤村俊二
- 古川辰夫:犬塚弘
- 渋沢勝:佐川満男
- 曽根田オーナー:渡辺貞夫(友情出演)
- 貴島律子:古手川祐子(特別出演)
- 貴島良雄:陣内孝則(特別出演)
- 貴島健三郎:財津一郎
- 企画・監督:塩屋俊
- 原作・脚本:矢城潤一(原作「ふたたび」宝島文庫刊)
- 製作:依田巽/水口昌彦/森博貴/藤野浩二/木下直哉/堀義貴/小笠原明男/矢野裕美子/川崎代治/星野岳司/百武弘二/冨木田道臣/井上隆由/山科健治/中西桂子
- プロデューサー:北川洋一/丸茂日穂/木村正人
- アソシエイトプロデューサー:山崎雅史
- 撮影:江原祥二(J.S.C)
- 美術:古賀次郎
- 照明:土野宏志
- 録音:山本研二
- 編集:園井弘一(J.S.E)
- 制作担当:砥川元宏
- 整音:上床隆幸
- 効果:藤原誠
- 助監督:井口誠一
- 装飾:中込秀志
- 音楽:中村幸代
- 主題歌:MINJI「SO FARAWAY」
- 制作:松竹京都撮影所
- 制作協力:ウィル・ドゥ
- 配給:ギャガ
- 製作:「ふたたび」製作委員会(ギャガ/ポニーキャニオン/LDH/ティー ワイ リミテッド/木下工務店/ホリプロ/エー・チーム/一光/メモリーテック/中央映画貿易/博報堂DYメディアパートナーズ/TOKYO FM/テレビ大阪/ケーワイトレーディング/アースガルズ)