半分の月がのぼる空
監督:深川栄洋
出演:池松壮亮 忽那汐里 大泉洋 ほか
2010年4月3日(土)よりシネセゾン渋谷、池袋テアトルダイヤほか全国ロードショー
2009年/カラー/35mm/ビスタサイズ/DTSステレオ/112分

病院で出会った少年と少女。病魔が少女の未来に陰を落としても、ふたりは懸命に“いま”を生きる。そして大切な人を失った医師は“過去”に囚われていた……。『半分の月がのぼる空』は、ひと組の男女の切なくも眩しい恋愛と、ひとりの男の再生を描いた、やさしく胸を打つラブストーリーだ。
発行部数140万部を越える橋本紡の同名小説を、『ガチ☆ボーイ』を手がけた脚本の西田征史と『60歳のラブレター』がスマッシュヒットを記録した監督の深川栄洋という気鋭の若手クリエイターが、映画オリジナルのアイディアも加えて映画化。原作の舞台でもある三重県・伊勢市周辺でオールロケを敢行し、原作の持つ魅力を映像として息づかせた。
主人公の祐一を演じるのは『ラスト・サムライ』で映画デビュー、『鉄人28号』『砂時計』『DIVE!!』など数々の話題作に出演する池松壮亮。ヒロイン・里香にはCMで注目を集め『守護天使』『BECK』と出演作が続く忽那汐里(くつな・しおり)。若いふたりがまっすぐな純愛を瑞々しく表現し、加藤康起、河村亮介、緑友利恵ら友人たちを演じる若手キャストとともに、キラキラした青春模様をスクリーンに描き出していく。
そして、祐一と里香に深く関わる医師・夏目には、演劇ユニット・TEAM NACSの一員であり『アフタースクール』などで独特の存在感を発揮する大泉洋。喪失の痛みから抜け出せない男を深みのある演技で体現し、映画に奥行きを与えている。
そのほか、濱田マリ、螢雪次朗、中村久美、西岡徳馬、森田直幸と、ベテランから若手まで幅広いキャストが顔を揃えた。
それぞれの誰かを大切に想う気持ちが重なるとき、物語は思いもかけない展開を見せ、感動のラストへと向かう――。

肝炎で青葉病院に入院中の高校2年生・裕一(池松壮亮)は、病室を抜け出して友人たちと遊んでいたのを看護師の亜希子(濱田マリ)に見つかってしまう。罰として亜希子が言い渡したのは、最近入院してきたばかりのある患者の友達になること。断ればテレビ没収と言われ、裕一は渋々その患者がよくいるという病院の屋上に向かう。そこには、ひとり本を読む里香(忽那汐里)の姿があった。相手が女の子であることに戸惑いつつ話しかけた裕一は、無理難題を押し付けてくる里香に振り回されながらも、里香の抱える淋しさに気づいていく。そして裕一は、里香が重い心臓病のため9歳のときから学校にも通えず入院しており、青葉病院の医師の手術の腕を頼って転院してきたことを知る。
青葉病院に勤務する医師・夏目(大泉洋)は、かつては手術の腕で知られる心臓外科医だったが、いまは内科医に転身している。夏目の腕を頼って転院してきた患者の手術を院長(螢雪次朗)から依頼されても、夏目は首を縦に振ろうとしない。6年前、妻の命を救えなかった夏目は、それ以来、一切手術をおこなわなくなったのだ。
一方、裕一と里香は次第に親しさを増していた。ある夜、病院から見える砲台山に登りたいという里香の願いを叶えるため、裕一は友人たちの協力を得て里香を連れて病院を抜け出す。砲台山は、里香が亡き父親と一緒に訪れた想い出の場所だった。父親と同じ難病で死への不安を抱え、母(中村久美)の苦労を思う里香は、泣きながら「早く死にたい」と口にする。そんな里香に、裕一は「俺、もっと一緒におりたい」と自分の想いを伝えるのだが――。
互いを大切に想う裕一と里香。妻を想うゆえに過去に囚われる夏目。それぞれの想いが向かう先とは?