樺太1945年夏 氷雪の門
監督:村山三男
出演:二木てるみ 若林豪 岡田可愛 丹波哲郎 南田洋子 ほか
2010年7月17日(土)よりシアターN渋谷にてロードショー
1974年/カラー/DV/119分
太平洋戦争末期の1945年8月9日、樺太(現在のロシア領サハリン)では、ソ連が日ソ不可侵条約を破り侵攻を開始した。ソ連の侵攻は8月15日の終戦以降も続き、多くの日本人が犠牲となった。『樺太1945年夏 氷雪の門』は、ソ連侵攻のただ中にある樺太・真岡で、最後まで自らの仕事を全うしようとした9人の女性電話交換手たちの、史実に基づいた物語だ。
この映画の公開が予定されていたのは、いまから36年前の1974年である。製作費は5億円を越え、大規模なオープンセットでの撮影や、陸上自衛隊が協力しての戦闘シーンなど、日本映画界では異例ともいえる大作として製作された。出演者も二木てるみ、若林豪、岡田可愛、丹波哲郎、南田洋子、千秋実、島田正吾、佐原健二、赤木春恵ら人気俳優が揃い、大きな期待と注目を集めていたことは、前売り券の販売枚数が70万枚に達していたことからもうかがえる。しかし、全国公開は直前になって中止された。内容が反ソ的であると当時のソ連大使館から抗議があり、配給会社が自粛したためであると伝えられている。
当時ごく限られた劇場で上映されたのみで、永く幻の作品となっていた同作のフィルムが2004年に発見された。当時、助監督をつとめた新城卓を中心に発足した上映委員会が貴重なフィルムをデジタル化、各地で上映活動をおこなってきた。そして完成から36年を経た2010年、デジタル上映という形でついに一般劇場公開を果たす。
脚本は『幕末残酷物語』の国弘威雄、監督は『あゝ海軍』の村山三男。そのほか、日本映画美術界の重鎮として永く活躍し先ごろ逝去した木村威夫や、円谷プロ作品で広く知られる特撮美術の成田亨など、錚々たるスタッフが参加している。
『樺太1945年夏 氷雪の門』は、後世に継ぐべき歴史の記憶であり、日本映画の名匠たちの技を伝える貴重な記録である。
- 関根律子:二木てるみ
- 藤倉信枝:鳥居恵子
- 斉藤夏子:岡田可愛
- 石田ゆみ:野村けい子
- 鳥貝啓子:今出川西紀
- 堀江正子:八木孝子
- 神崎泰子:相原ふさ子
- 青木澄子:桐生かほる
- 仲村弥生:木内みどり
- 林田千恵:北原早苗
- 香取知子:岡本茉莉
- 手塚美沙子:大石はるみ
- 坂本綾子:藤田弓子
- 三好とく:真木沙織
- 北野早苗:藤園貴巳子
- 植中賢次:千秋実
- 久光忠夫:若林豪
- 仁木師団長:島田正吾
- 鈴木参謀長:丹波哲郎
- 吉崎大尉:三上真一郎
- 清水連隊長:藤岡重慶
- 村口副官:黒沢年男
- 岡谷俊一:佐原健二
- 関根辰三:今福正雄
- 関根しず:赤木春恵
- 森本きん:七尾伶子
- 藤倉亮介:伊沢一郎
- 安川徳雄:田村高廣
- 安川房枝:南田洋子
- 中西清治:浜田光夫
- 斉藤秋子:岡田由紀子
- 菅原良子:柳田慶子
- 菅原美保子:栗田ひろみ
- 小松慶一:見明凡太郎
- 神崎雄一:織本順吉
- 監督:村山三男
- 原作:金子俊男
- 脚本:国弘威雄
- 総指揮:三池信/小倉寿夫
- 製作:望月利雄/守田康司
- 企画:望月利雄/高木豊
- 撮影:西山東男
- 照明:野村隆三
- 美術:木村威夫
- 録音:安田哲男
- 編集:エディー編集室
- 助監督:山野辺勝太郎/新城卓
- 音楽構成:大森盛太郎
- 演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
- 提供:「氷雪の門」パートナーズ/アジア映画社/太秦株式会社
- 協力:「氷雪の門」上映委員会
- 配給:太秦