戸川恵介(林野健志)と林あゆみ(黒澤ゆりか)は同棲中のカップル。出会って3年、恵介があゆみの部屋に転がり込んできて2年。ふたりの記念日を覚えていない恵介にあゆみが腹を立てたりもしながらも、ふたりはそれなりにうまくやっている。
恵介とあゆみがふたりの記念日をささやかに祝っていたレストランに、黒いコートの男(秋山真太郎)が現われた。店員たちは現われた男を「先生」と呼び丁寧にもてなす。その様子を面白そうに眺めていた恵介だったが、あゆみまでが男のことを「先生」と言い出した。いつの間にか、店の中のいる恵介以外の人間は全員、あの男に魅入られたようになっていた……。
それから数日後、あの男が恵介がバイトするライブハウスへとやって来た。ライブハウスのスタッフも常連客も、男の行動にまるで操られたように従う。そして、全員が恵介の記憶を失っていたのだった。
あゆみもまた、恵介の記憶を失っていた。それどころか、ふたりで暮らしていた部屋からは恵介の持ち物が一切なくなっていた。恵介は男が催眠術で記憶を操作したのではないかと疑うが、男はこの世界には恵介の存在を証明するものがなにもないと告げる。男がそういう世界にしたのだと。
誰も自分の記憶を持たない世界で、金も仕事も住むところもなく孤立していく恵介。だが恵介は懸命に自分の居場所を作り出そうとする。いまは恵介に代わってあゆみとともに暮らす男は、時折、恵介の近くに現われては恵介が人々と築いた新たな関係を消していく。それでもたくましく生き抜いていく恵介。
やがて恵介は、男と対決することを決意する。その対決は果たしてなにをもたらすのか? そして世界の行き先は?
乱暴者の世界
監督:中田圭
出演:林野健志 黒澤ゆりか 秋山真太郎 ほか
2010年10月9日(土)よりシアターN渋谷にてロードショー
カラー/ステレオ/108分
世界を変える力を持った男。男の力によって世界に“存在しないこと”になった青年。青年の記憶を失った恋人。青年は恋人と自分の居場所を取り戻すために、男に立ち向かう――。SF的なアイディアを取り入れたストーリーで、閉塞感の中で希望を捨てずに運命を切り開いていく若者の姿を描いた異色の青春映画。それが『乱暴者の世界』だ。
この異色作に揃ったのは、現在注目を集める若手キャストたちだ。謎の男・カミオを演じるのは、劇団EXILE華組のメンバーであり、ミュージカル「テニスの王子様」出演でも知られる秋山真太郎。ミステリアスな中にも弱さや繊細さも感じさせつつ演じ、カミオというキャラクターにリアリティを与えている。そして、カミオに翻弄されつつたくましく生きる青年・恵介にはミュージカル「テニスの王子様」で注目を集めた林野健志。193センチの長身からあふれる力強さとともに、恋人の生活を頼る男の情けなさも巧みに表現している。さらに、iPhone用アプリのモデルをつとめ大きな話題となった黒澤ゆりかが恵介の恋人・あゆみ役で映画初出演。すでに舞台などで演技経験を持っているだけあり、世界の変容により別人のように人格も変わる難役をこなして女優としての可能性を感じさせている。
『ポチの告白』や『GOTH』などで知られる映画監督・高橋玄が脚本とプロデュースを担当。監督は『ワル 序章』『拳-FIST-』などアクション映画を得意としてきた中田圭。撮影に写真家としても著名な井出情児、音響にアカデミー賞音響効果受賞のサウンドデザイナー・TAK小川ら、国際的に活躍する実力派スタッフが結集した。
独特な設定のもとで展開するストーリーは果たしてどんな結末を迎えるのか? 驚愕のラストがあなたを待ち受ける。
- 林野健志
- 黒澤ゆりか
- 秋山真太郎
- 山本正之
- 阿部由輝子
- 崔哲浩
- 島田淳
- 可野浩太郎
- 倉田千鶴
- 増田久美子
- 吉見麻美
- 友田安伊子
- ナミダ★ボーイズ
- The Hellos
- PEACOCK BABIES
- 鳥井賀句
- 枯葉マナコ
- 戸川昌子
- 監督:中田圭
- 脚本:高橋玄
- 製作:由佐武夫/高橋玄
- プロデューサー:高橋玄/中田圭
- 撮影:井出情児
- 照明:小川満
- サウンド・デザイン:TAK小川(小川高松)
- 美術:林天外
- ヘア&メイク:鈴木理恵
- 衣裳コーディネート:西内喜和(kiwa)
- 助監督:小南敏也
- 制作担当:柳澤泰彦
- 音楽:村上純
- 主題歌:VERVAIN「CLAIMANT」
- 制作・著作:GRAND CAFE PICTURES Corporation
- 配給:フリーマン・オフィス