
東京から海の近くの小さな町へと引っ越してきた木下トキヤ(佐藤永典)は、新しい高校に転入して早々、些細なきっかけから同じクラスのシュンこと桜木隼(佐々木喜英)とトラブルを起こしてしまう。だが、音楽好きの女の子に恋をしているシュンは、トキヤがピアノが弾けると知ると恋の手助けを頼んできた。それをきっかけにトキヤとシュンは友情を育んでいき、ふたりの友情は高校を卒業してからもずっと続いていた。
ある日、病院を訪れたトキヤは、入院中の寂しげな女性・紺野ユウ(岡本玲)と出会う。ユウは事故が原因で過去の記憶を失っているという。トキヤはユウを連れて町を案内するが、町の景色を見てもユウの記憶が戻ることはなかった。そして、偶然に耳に届いてきたピアノの旋律に、ユウは突然泣き出してしまう……。
トキヤとの出会いから数日後、退院したユウは、同じように事故の後遺症を持つ桐谷(渋江譲二)や長谷川(落合恭子)たちとともに、瀬良(小木茂光)がオーナーをつとめるペンションで働きはじめた。ユウのことが気にかかるトキヤはたびたびペンションを訪れ、瀬良の勧めで仕事を手伝うことになる。
最初はトキヤに対して戸惑いを隠せなかったユウだが、ペンションで一緒に仕事をする中で次第に心を開いていく。徐々に明るさを取り戻すユウは、瀬良の妻・美津子(桐島レイカ)の誕生日にピアノ演奏を贈ろうと、トキヤにピアノを習いはじめる。
いつしかユウはトキヤへの淡い恋心に気づいていた。一方で親友・シュンの恋の行方がトキヤの心を揺らす。トキヤとユウとシュン、それぞれの想いは美しいピアノのメロディに乗って重なっていき、そして――。