京都の太秦。かつて多くの映画撮影所が存在したこの街には、いまでも地名にその名残りが見られる。
東出京子(海老瀬はな)は、大映通り商店街にある東出クリーニング店の娘。幼なじみでいまでも仲のいい梁瀬康太(USA)は豆腐店の息子で、ザ・ダイズというコンビでお笑い芸人をしているが、いまだ芽は出ずオーディションに挑戦する日々だ。
京子が司書としてつとめている立命館大学の図書館に、客員研究員の榎大地(田中壮太郎)がやってきた。榎は気難しい態度で京子を困らせるが、京子の丁寧な対応は榎をときめかせる。
一方、康太はオーディションに落ちたことをきっかけにコンビの相方が辞めてしまい、将来について悩みはじめていた。京子と話しても、どこか気持ちがすれ違ってしまう。
そんなある日、クリーニングを頼みに東出クリーニング店にやってきた榎は、店を手伝っていた京子と再会する。榎は京子に先日の丁寧な対応の礼を言うと、自分の研究テーマである文字文学について熱心に語るのだった。
いつしか、榎はすっかり京子に心を奪われていた。期間限定の研究員で、もうすぐ東京に帰ることになっている榎は、ついにその想いを京子に告げる。思いもかけなかった榎の告白に、京子はただ戸惑うばかりだった。
そして康太は初めてのピン芸人としての仕事がうまく行かず、励まそうとした京子とつい口論になってしまう。ふたりが言い争うのを偶然見かけていた榎は、京子に東京行きの切符を手渡す……。
映画の歴史の残る街・太秦を舞台に繰り広げられる恋物語の結末は?
京都太秦物語
監督:山田洋次/阿部勉
出演:海老瀬はな USA 田中壮太郎 ほか
2010年9月18日(土)より東劇、なんばパークスシネマほか全国順次公開
日本映画の歴史の残る街・京都太秦。大学の図書館で働く京子はこの街で生まれ育った。お笑い芸人の幼なじみとどこか気持ちがすれ違う中、東京から来た学者に想いを告白され、京子の心は揺れる……。
『京都太秦物語』は、日本映画界を代表する監督・山田洋次が京都・立命館大学の学生とともに作り上げた作品である。2007年、立命館大学と映画会社・松竹は映画人の育成を目的に連携を開始し、山田監督は同大客員教授に就任した。その産学連携の成果として完成したのが、映画の街を舞台にしたラブストーリー『京都太秦物語』だ。
山田監督の助監督を経て初監督作『しあわせ家族計画』が高く評価された阿部勉監督が共同監督をつとめたのをはじめ、山田作品を支える精鋭スタッフが22名の学生たちと一丸となって映画作りに臨んだ。また、京都府も全面的に製作に協力し“産・学・公”による共同プロジェクトが実現した。
ヒロインの京子をナチュラルに演じたのは、松竹による新人女優オーディション“STARGATE”出身で『犬と私の10の約束』『築城せよ!』などに出演する海老瀬はな。そして幼なじみの康太を演じる人気グループ・EXILEのメンバー・USA(ウサ)は、お笑い芸人という意外に思える役で新たな魅力を見せつつ、劇中で華麗なダンスも披露。さらに京子に恋する研究者・榎役で俳優座所属の田中壮太郎が山田監督作品『おとうと』に続いての映画出演を果たしている。また、実際の京都太秦商店街や立命館大学の人々が俳優たちとともに出演し、フィクションの中にドキュメント感覚を持ち込んでいる。
映画の街の情緒を伝える、どこか懐かしさをたたえた新作映画の誕生だ。
- 海老瀬はな
- USA(EXILE)
- 田中壮太郎
- 西田麻衣
- 北山雅康
- ボルトボルズ弓川
- アメリカザリガニ
- 田中泯
- ナレーション:壇れい
- 監督:山田洋次/阿部勉
- 企画・原案:山田洋次
- 脚本:山田洋次/佐々江智明
- 製作:長田豊臣/野田助嗣
- プロデューサー:山本一郎
- ラインプロデューサー:阿部智大
- 撮影:近森眞史
- 録音:岸田和美
- 美術:西村貴志
- 照明:土山正人
- 編集:石島一秀
- 衣裳:松田和夫
- 音響効果:帆苅幸雄
- 監督助手:前原康貴
- 製作担当:阿蘇芳則
- スタッフ助手:立命館大学映像学部生
- 音楽:富貴晴美
- 協力:京都府/立命館大学/松竹京都撮影所/大映通り商店街
- 製作:学校法人立命館/松竹株式会社
- 制作・配給:松竹株式会社