高校野球界期待の投手・諸岡克彦が予選準々決勝でパーフェクトゲームを達成した翌日、探偵事務所の調査員・蓮見加代子(加藤ローサ)と父親で所長の浩一郎(宅間伸)は、克彦の父・諸岡三郎(石黒賢)から、家出した次男・進也(中村蒼)の捜索を依頼される。試合の直前、克彦のユニフォームを着せた人形が燃やされるという事件が起き、マスコミが克彦の周囲を調べはじめていた。三郎は、マスコミが問題児である進也に目をつけることを心配していたのだ。
進也がよく姿を見せるという夜の繁華街で聞き込みをおこなっていた佳代子は、酔っ払いの男に絡まれてしまう。そこを助けてくれたのは、偶然通りがかった進也だった。進也は、加代子から父親が自分を捜していると聞かされると意外にも素直に家に戻ることを了解する。しかし、自宅に戻る途中、偶然立ち寄った工業団地で進也と加代子が目にしたのは、炎に包まれる兄・克彦の姿だった……。
物語は、克彦がパーフェクトゲームを達成した日へと遡る。興奮に沸く球場の外では、大手製薬会社・三友製薬の総務課長・木原和夫(小市慢太郎)が結城雅之(津田寛治)という男と会っていた。結城は、あるネタをもとに三友製薬に恐喝をかけていたのだ。事情を知らないまま交渉役となった木原に、結城は「No.8」という言葉を残して去っていく。会社に戻った木原は、社長の幸田(大杉漣)に「No.8」について問いただすが幸田はなにも語らず、経営コンサルタントを名乗る男・上村(升毅)は「No.8」が社長を縛る過去の亡霊であると告げる。木原の中には、少しずつ会社への不信感が芽生えていく……。
高校球児殺人事件と製薬会社恐喝事件、ふたつの事件の関係が次第に明らかになる中で浮かびあがる哀しい真実とは?
パーフェクト・ブルー
監督:下山天
出演:加藤ローサ 中村蒼 宅間伸 石黒賢 ほか
2010年9月18日(土)より角川シネマ新宿、シネプレックス系にて1週間限定ロードショー
2010年/カラー/120分
『理由』『クロスファイア』『模倣犯』『ブレイブ・ストーリー』など、映画化作品も多い人気作家・宮部みゆき。その長編デビュー作である『パーフェクト・ブルー』が待望の映像化を果たした。
探偵事務所の若き女性調査員が依頼された家出人捜索。やがてその事件は、高校野球界のスーパースターの殺人事件、そして大手製薬会社が過去に起こしたある事件へとつながっていく……。
主人公の探偵事務所調査員・蓮見加代子を演じるのは『デトロイト・メタル・シティ』『天国はまだ遠く』など映画・ドラマで活躍する加藤ローサ。加代子とともに事件を追うことになる諸岡進也には『ひゃくはち』やドラマ「Q.E.D.証明終了」で主演をつとめ『BECK』も控える中村蒼。注目の若手俳優ふたりがフレッシュさの中に堂々とした存在感を見せている。
そして加代子の父を演じる宅間伸、進也の父を演じる石黒賢をはじめ、津田寛治、小市慢太郎、甲本雅裕、藤田朋子、升毅、大杉漣ら、実力派俳優陣が豪華共演を果たす。
メガホンをとったのは、ATP賞テレビグランプリ2008・ドラマ部門最優秀賞を受賞した「あしたの、喜多善男」など、数々のテレビドラマや劇場用作品『弟切草』『SHINOBI』を手がけてきた下山天。スタイリッシュな映像で独特の雰囲気を持った作品世界を築き、多くの登場人物が複雑に絡みあっていく、見ごたえのあるエンターテイメントを完成させた。
本作は、同じく宮部みゆき原作の『理由』など劇場公開作も多く生み出しているWOWOWのオリジナルドラマ企画「ドラマW」の1本として2010年2月に放送され、その完成度の高さと反響の大ききから劇場公開が実現した。
- 蓮見加代子:加藤ローサ
- 諸岡進也:中村蒼
- 蓮見浩一郎:宅間伸
- 諸岡三郎:石黒賢
- 結城雅之:津田寛治
- 木原和夫:小市慢太郎
- 宮本刑事:甲本雅裕
- 諸岡久子:藤田朋子
- 上村大樹:升毅
- 幸田俊朗:大杉漣
- 監督:下山天
- 原作:宮部みゆき「パーフェクト・ブルー」(東京創元社刊)
- 脚本:伊藤崇
- プロデューサー:青木泰憲/土橋覚
- 企画協力:河野治彦
- 撮影:柳田裕男
- 照明:宮尾康史
- 録音:奥雅人
- 編集:石川浩通
- 美術制作:佐原敦史
- 助監督:荻野馨
- 記録:増田文
- 制作担当:高橋誠喜
- 音楽:吉川清之
- 制作:東阪企画
- 製作著作:WOWOW
- 提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/WOWOW
- 配給:角川シネプレックス