アンソニー(エリック・ボシック)は、日本人の妻・ゆり子(桃生亜希子)と3歳になる息子のトムと3人、東京で暮らしている。優秀な科学者だった父・ライド(ステファン・サラザン)は、20年前に妻の美津枝(中村優子)を失って以来、息子の健康状態に偏執的な心配を抱いていた。トムが生まれてからはその対象はトムにも向けられ、定期的にアンソニーとトムを自宅に呼んでは自ら検診をおこなっていた。
ある日、ライドの検診を受けて自宅に帰る途中、アンソニーの目前でトムが車に轢き殺されてしまう。ゆり子は息子の命を奪った犯人への憎悪を燃やし、冷静に振舞おうとするアンソニーに怒りをぶつける。それでもアンソニーは“決して怒りの感情を持ってはならない”という両親からの教えを守り、母の歌ってくれた子守歌を口ずさんで心を鎮めようとするのだった。
だが、アンソニーの中にも抑えきれない感情が沸きはじめていた。やがてアンソニーの身体に異変が起こる。口から吐き出される黒い液体、機械のように変化する声、金属化していく顔。
そして謎の集団がアンソニーの命を狙う。さらにトムを轢き殺した男(塚本晋也)がアンソニーに知らせる、父・ライドが隠していた秘密。
男のメッセージに導かれてやってきたライドの家の地下室で、アンソニーは驚愕の事実を知る。かつてライドが関わっていた“鉄男プロジェクト”とは? 母・美津枝の身にはなにが起こったのか? 動揺するアンソニーの身体は、さらに変化を続けていく――。
鉄男 THE BULLET MAN
監督:塚本晋也
出演:エリック・ボシック 桃生亜希子 中村優子 塚本晋也 ほか
2010年5月22日(土)よりシネマライズほか全国ロードショー
2009年/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/全編英語・日本語字幕/71分
1989年、1本の映画が公開された。ぴあフィルムフェスティバルで注目を集めた当時29歳の新鋭監督・塚本晋也の初一般公開作となる『鉄男』は、それまで類を見ない先鋭的な映像で次々と観客を虜にしていった。その勢いは日本に留まらず、海外でも上映された『鉄男』は、新たなジャパニーズ・カルチャーの代表的作品として熱狂的な支持を集めていったのだ。クエンティン・タランティーノをはじめ、その影響を公言するクリエイターも数多い。
世界を熱狂させた『鉄男』から20年、ついに塚本晋也監督自身の手によって、世界中が永年待ち続けてきた「鉄男」シリーズの新作となる『鉄男 THE BULLET MAN』が誕生した! 大都市・東京を舞台に、平凡に生きてきた男が怒りの感情によって金属化していくという『鉄男』『鉄男2』のモチーフを継承し、リメイクでも続編でもない新たな“鉄男”の物語が描かれる。
当初から世界展開を前提に、主人公・アンソニーにはモデル・写真家でもあるアメリカ人俳優のエリック・ボシックを起用。そして女優・モデルとして活躍する『コンナオトナノオンナノコ』の桃生亜希子、『真夏の夜の夢』『クヒオ大佐』などの実力派・中村優子と、圧倒的な存在感をもったふたりの女優がアンソニーを取り巻く女性たちを演じる。また、塚本晋也自身も“鉄男”の秘密を知る謎の男役で出演を果たしている。
塚本晋也が原点に立ち返り、1年半の期間をかけ完成させた21世紀の“鉄男”。2009年にアメリカ、イタリア、スペイン、韓国の映画祭に出品され注目を集めてきた話題作が、ついに日本逆上陸を果たす。いま、新たな衝撃が全世界に向けて打ち放たれる。
- アンソニー:エリック・ボシック
- ゆり子:桃生亜希子
- 美津枝:中村優子
- ライド:ステファン・サラザン
- ヤツ:塚本晋也
- 監督:塚本晋也
- 脚本:塚本晋也/黒木久勝
- シニア・プロデューサー:塚本晋也/豊島雅郎
- プロデューサー:川原伸一/谷島正之
- プロデュース・スーパーバイザー:寺嶋博礼
- 共同プロデューサー:岩浪泰幸
- アシスタント・プロデューサー:今井淑恵
- 撮影:塚本晋也/志田貴之/林啓史
- 録音:加藤大和
- 音響効果:北田雅也
- 助監督:黒木久勝/林啓史
- 音楽:石川忠
- 宣伝プロデューサー:櫻糀恵介
- 製作:TETSUO GROUP 2009(海獣シアター/アスミック・エース エンタテインメント/Yahoo! JAPAN)
- 制作プロダクション:海獣シアター
- 配給:アスミック・エース