雪が降りしきる中、斎藤カユ(浅岡ルリ子)は、家族に見送られながら息子に背負われて山へと向かった。山の奥深く、ひとり置き去られたカユは「極楽浄土」と繰り返しながら意識を失う……。
カユが目を覚ますと、そこには見覚えのある顔があった。みな、カユより先に山へと入っていった村の女たちだ。カユたちの村では、70歳を迎えた年寄りは「お山参り」と称して山へと捨てる決まりになっていた。カユより先に「お山参り」を迎え死んだと思った女たちは、村人が入ってこない山の反対側で生き延びてきたのだ。
女たちが暮らす「デンデラ」と呼ばれる場所を作りあげたのは、100歳になる三ツ星メイ(草笛光子)。30年前に「お山参り」で山に捨てられたメイはひとり山で生き抜き、山に捨てられる女だけを助けてきたのだ。村への復讐心に燃えるメイは、かねてから村を襲うことを計画しており、デンデラにやって来た女たちに襲撃の稽古をさせていた。50人目の女がやってきたときが、デンデラが村を襲うとき。ちょうど50人目となるのがカユであった。
狩猟の達人である浅見ヒカリ(山本陽子)たちを組頭に選び、村の襲撃を実行に移そうとする。メイから「いくじなし」と呼ばれている椎名マサリ(倍賞美津子)は、村より豊かになることこそ一番の復讐だと主張して襲撃をやめさせようとするが、メイは満月になる5日後に村を襲うと宣言する。
デンデラが大きく動き出す中、カユは親友だった黒井クラ(赤座美代子)との再会を果たす。そしてカユたちは、誰もが予想だにしなかった運命の渦の中へと巻き込まれていく……。
デンデラ
監督:天願大介
出演:浅丘ルリ子 倍賞美津子 山本陽子 草笛光子 ほか
2011年6月25日(土)より全国ロードショー
年老いて山奥深くへと捨てられた女たち。だが、女たちは山中に「デンデラ」という共同体を作りあげ、たくましく生き延びていた。そしてデンデラに50人目の女がやってきたとき、デンデラの女たちは自分たちを捨てた村に復讐を遂げようとする……。
若手作家・佐藤友哉の同名小説を原作とした『デンデラ』は、日本に古くから伝わる姥捨山伝承をモチーフにした作品だ。70歳を過ぎ、山に捨てられた女たちは、その後どんな運命を遂げたのか? 『デンデラ』はその「続き」を描いていく。
登場人物のほとんどが年老いた女性という設定の作品を映像化するため、日本を代表するベテラン女優陣が豪華共演を果たした。新たにデンデラに加わった主人公・斎藤カユを演じるのは浅丘ルリ子。自分を捨てた村への復讐心を燃やすデンデラの創始者・三ツ星メイには草笛光子。村への憎しみを抱えつつも村襲撃に反対する椎名マサリには倍賞美津子。デンデラきっての狩猟の達人・浅見ヒカリには山本陽子。そのほか、山口果林、白川和子、山口美也子、角替和枝、田根楽子、赤座美代子。雪中でのロケに果敢に挑んでみせた女優たちの迫力の演技は必見だ。
監督・脚本は天願大介。『AIKI』『世界で一番美しい夜』などの監督作のほか『オーディション』『十三人の刺客』などで脚本家としての評価も高い天願監督は、姥捨山伝承を題材にした『楢山節考』を撮った映画監督・今村昌平の息子である。『デンデラ』は、天願監督がかつて父が描いた題材に挑んだ作品だと言えるだろう。
ときとして凶暴さすらむき出しにする大自然の中で、それでも女たちは旺盛な“生命力”を見せていく。それは『デンデラ』が現在の日本に贈るメッセージだ。
- 浅丘ルリ子
- 倍賞美津子
- 山本陽子
- 草笛光子
- 山口果林
- 白川和子
- 山口美也子
- 角替和枝
- 田根楽子
- 赤座美代子
- 監督・脚本:天願大介
- 原作:佐藤友哉「デンデラ」(新潮社刊)
- 製作・企画:中沢敏明/遠谷信幸
- 共同製作:冨木田道臣/高津祥一郎
- プロデューサー:厨子健介/古賀俊輔/湊谷恭史
- 共同プロデューサー:宇生雅明
- ラインプロデューサー:新野安行
- 庄内担当プロデューサー:丸山典由喜
- 撮影:古谷巧
- 照明:高坂俊秀
- 美術:稲垣尚夫
- 装飾:相田敏春
- 録音:加来昭彦
- VFX・特殊造形:岡部淳也
- 衣裳:千代田圭介
- ヘアメイク:小沼みどり
- 編集:阿部亙英
- 整音:矢野正人
- 音響効果:柴崎憲治
- イメージデッサン:スズキコージ
- キャスティング:吉川威史
- 助監督:千村利光
- 製作担当:坪内一
- 音楽:めいなCo.
- 企画協力:新潮社
- 撮影支援:山形県
- 制作協力:庄内映画村
- 制作プロダクション:ザフール
- 製作:「デンデラ」製作委員会
- 配給:東映