歌舞伎町にあるポールダンスバーの楽屋。ダンサーたちが、店によく顔を出す男・カズの噂で盛り上がっていた。ほかの踊り子からカズの話を振られてダンサーの真知子(鈴木杏)は笑みを浮かべる。
そのころ、当のカズ(高良健吾)は、兄貴分の伊藤(村上淳)から、真知子の働くポールダンスバーで騒ぎを起こすように命じられていた。抱える借金を帳消しにするという条件を示されたカズは、仲間とともにバーを訪れた。
カズたちの起こした騒ぎでバーが混乱する中、カズは楽屋から真知子を連れ出すと、そのまま駆け落ちをしないかともちかける。以前からカズのことが気になっていた真知子もそれを了承し、車に乗り込み走り出すふたり。
カズと美知子がやって来たのは、カズの故郷の町。裕福な家の息子であるカズは、実家に顔を出すと、両親に「俺、こっちでこの人と暮らすことにした」と真知子を紹介する。息子の勝手な行動に呆れつつも、父の一幸(小林薫)は、ふたりの住まいとしてマンションの一室を与える。
カズは叔父の伸二(田口トモロヲ)が営む店で酒の配達の仕事を始める。地元の旧友たちともカズの帰郷を喜び、真知子を歓迎する。真知子は自分が知らない町に来たことを実感しつつも、新たな生活になじもうとしていた。
だが、カズが真知子との入籍を口にしたことがきっかけで、カズと父親はひと悶着を起こす。カズをかわいがっているカフェのマダム・千代子(緑魔子)から事情を聞いた真知子は、カズのもとを去り、東京でダンサーとしての仕事に戻るが、カズは真知子を追って東京へとやって来た……。
軽蔑
監督:廣木隆一
出演:高良健吾 鈴木杏 ほか
2011年6月4日(土)より角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿ほか全国ロードショー
都会の雑踏の中で惹かれあい、走り出した男女。男の故郷で新たな生活を始めたふたりは、運命に引き裂かれながらも、激しく、狂おしく愛しあっていく。芥川賞作家・中上健次の長編小説を原作に、さまざまな“愛”の形を描いてきた廣木隆一監督のメガホン、高良健吾と鈴木杏という若手実力派俳優の主演で送る情熱的な純愛劇が『軽蔑』だ。
『ノルウェイの森』『白夜行』など話題作への出演が続く高良健吾が演じるのは、裕福な家庭に生まれながら放蕩を尽くす男・カズ。『M』以来となる廣木作品出演で、自堕落だが純粋に愛情を注ぐ男を、繊細に、かつエモーショナルに演じてみせた。
そして鈴木杏が演じるのは、夜の街で踊り子として生きる女・真知子。若手ながら豊富なキャリアを持つ鈴木が、高良との濃厚なラブシーンなど大胆な演技に挑戦して新たな一面を見せる。また、特訓を積んで撮影に臨んだポールダンスも注目だ。
そのほか、大森南朋、忍成修吾、村上淳、田口トモロヲら日本映画界に欠かせない俳優陣や、ベテランの根岸季衣、小林薫らが共演。そして伝説的女優・緑魔子が比類なき存在感を発揮し、映画に独特の空気をもたらしている。
脚本は『しゃべれどもしゃべれども』『サマーウォーズ』など幅広い作品を手がける奥寺佐渡子。撮影の鍋島淳裕、照明の豊見山明長、録音の深田晃、美術の丸尾知行、編集の菊池淳一と、これまでにも廣木作品に参加しているスタッフが集まった。
撮影は、原作者・中上健次の故郷である和歌山県新宮市でのロケを中心にしておこなわれた。美しくスクリーンへと切り取られた風景は、どこか現実と一線を画したような世界を生み出している。
カズと真知子、ふたりの向かう先は破滅なのか? 『軽蔑』は、現代に“愛”を問う。
- 二宮一彦(カズ):高良健吾
- 矢木真知子:鈴木杏
- 山畑万里:大森南朋
- 浜口政博:忍成修吾
- 伊藤:村上淳
- 二宮貴子:根岸季衣
- 二宮伸二:田口トモロヲ
- 杉田千代子(マダム):緑魔子
- 二宮一幸:小林薫
- 林公平(ピー):小林ユウキチ
- 西崎健次(ニシ):日向寺雅人
- 横田悟(サトル):蕨野友也
- 山田キヌヲ
- 蒼井そら
- 監督:廣木隆一
- 原作:中上健次「軽蔑」(角川文庫刊)
- 脚本:奥寺佐渡子
- エグゼクティブプロデューサー:椎名保
- 製作:池田宏之/梅川治男
- 企画:嵐智史
- プロデュース:森重晃
- プロデューサー:大森氏勝/湊谷恭史
- 企画協力:内田ゆき/志摩敏樹
- 撮影:鍋島淳裕(J.S.C.)
- 照明:豊見山明長
- 録音:深田晃
- 美術:丸尾知行
- 編集:菊池純一
- 助監督:久万真路
- 音楽プロデューサー:池畑伸人
- 撮影協力:和歌山県新宮市/新宮市観光協会
- 製作:角川映画/ステューディオスリー
- 助成:文化芸術振興費補助金
- 配給・宣伝:角川映画