加賀藩の御典医の家に生まれた高峰譲吉は、幼いころ父に連れられ、生活に困窮した民衆が起こした“泣き一揆”の様子を目の当たりする。この経験が、やがて譲吉を多くの人を救う化学の道へと進ませることとなる。
日本で学んだのち、単身アメリカに渡った譲吉は、化学者として優れた業績をあげるだけに留まらず実業家としても成功し、日本とアメリカをつなぐ民間外交でも大きな役割を果たしていた。
1908年、譲吉(長谷川初範)は妻のキャロライン(ナオミ・グレース)とともに帰国する。横浜港には、譲吉を出迎える幼少時代からの友人である化学者・桜井錠二(篠田三郎)と、離れたところから譲吉を見つめる紀行作家のシドモア女史(ハニー・ローレン)と彼女の通訳をつとめる麻績村貴子(田中美里)の姿があった。
翌年、ニューヨークに戻った譲吉を貴子が訪ねてきた。1904年の日露戦争の開戦の折、日本銀行副総裁の高橋是清(ヒデトシ・イムラ)と金子堅太郎男爵(渡辺裕之)の依頼を受けてアメリカの理解を得るべく奔走した経験を持つ譲吉に貴子が切り出したのは、アメリカに桜の花を咲かせるというシドモア女史の夢に協力してほしいという願いだった。貴子の話を聞いた譲吉は協力を快諾、日米友好の証としてアメリカに桜を咲かせるべく動きはじめた。
こうして、日本から2000本の桜の苗木がアメリカへと送り出されたが、思いもかけぬ事態がその計画を阻むことになる。譲吉たちに批判の声も寄せられる中、譲吉はあきらめることなく計画を実行しようとする。その想いは、多くの人々の心を動かしていく。果たして、アメリカに桜の花は咲くのだろうか――。
TAKAMINE アメリカに桜を咲かせた男
監督:市川徹
出演:長谷川初範 篠田三郎 渡辺裕之 ほか
2011年5月下旬、有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー
明治時代、単身アメリカに渡って数々の優れた業績を挙げた化学者・高峰譲吉は、実業界や民間外交でも大きな役割を果たした。そんな高峰の生涯に魅せられ、彼の半生を『さくら、さくら―サムライ化学者 高峰譲吉の生涯―』として映画化した監督の市川徹が、再び高峰を主人公に完成させたのが『TAKAMINE アメリカに桜を咲かせた男』だ。
『さくら、さくら』は、高峰の化学者としての面と、国際結婚の草分けとなった妻・キャロラインとの恋愛を中心に描いていたが、続編となる『TAKAMINE』は、高峰の「日本とアメリカの架け橋」としての活躍に焦点を当てている。
今回、高峰譲吉を演じるのは長谷川初範。落ち着いた演技で、高峰のアメリカから故国へ寄せる想いを表現してみせた。共演には、高峰の友人であり化学者の桜井錠二に篠田三郎、金子堅太郎男爵に渡辺裕之らのベテラン陣に、物語の語り部となる麻績村貴子役の田中美里、トヨタ自動車創業者となる豊田佐吉役の川久保拓司と、若手実力派がフレッシュさを添える。また、キャロライン役のナオミ・グレース、高峰の妹・順役の国分佐智子、実業家・渋沢栄一役の松方弘樹が『さくら、さくら』と同じ役で引き続いて出演。さらに、六平直政、柴田理恵という個性派俳優が演じる村井夫妻を巡るドラマにも注目だ。
主題歌は、女性シンガー・白井貴子が映画のために作った「SAKURA SAKURA〜幸せの架け橋」。白井貴子は映画本編にも特別出演している。
史実に基づいた高峰の半生に、映画オリジナルのエピソードを加えた『TAKAMINE アメリカに桜を咲かせた男』は、時間や距離を越えた人と人との結びつきを感じさせるヒューマンドラマとなっている。
- 高峰譲吉:長谷川初範
- 桜井錠二:篠田三郎
- 金子堅太郎:渡辺裕之
- 麻績村貴子:田中美里
- 豊田佐吉:川久保拓司
- キャロライン:ナオミ・グレース
- シドモア女史:ハニー・ローレン
- 竹橋順:国分佐智子
- 村井初:柴田理恵
- 村井六郎:六平直政
- 松阪金吾:黒部進(友情出演)
- 伊藤博文:栗塚旭
- 渋沢栄一:松方弘樹
- 監督:市川徹
- 脚本:長谷川圭一/太田小由美/小林玖美子
- エグゼクティブプロデューサー:温井伸/市川徹
- プロデューサー:久保幸男/播摩章/太田小由美
- コ・プロデューサー:嵜野準也
- 撮影監督:サム・ケイジ・ヤノ
- 撮影:倉田良太
- 衣裳:大森茂雄
- ヘアメイク:井手奈津子
- 編集:横山智佐子
- 音楽:小川類
- 主題歌:白井貴子「SAKURA SAKURA 幸せの架け橋」
- 製作:北國新聞社/富山新聞社/株式会社Rei23
- 配給:アーク・フィルムズ
- 配給協力:ムービーTomato/カウンターポイント