
祠堂学院の温室でひとりバイオリンを弾くタクミ=葉山託生(浜尾京介)と、それをそっと見つめるギイ=崎義一(渡辺大輔)。2年生のころから互いの気持ちを確かめあってきたふたりだが、3年生になってからは別々の時間を過ごすことが増えていた。ギイは学園中の注目を集める存在だ。ふたりの関係を隠すのは、タクミを周囲の嫉妬から守ろうとするギイの心遣いだった。
タクミにとって重要な日である6月15日を1週間後に控えた日曜日。タクミは母からの電話を受けた。「15日はどうしてる?」と尋ねる母に「無理なんだ」と答えて電話を切るタクミ。タクミは、よき友人である赤池章三(滝口幸広)に、久しぶりにギイとふたりで話がしたいと仲介を頼む。
翌日、タクミとギイは温室で待ちあわせるが、思わぬ出来事のためにほとんど話をすることはできなかった。その夜、タクミは意を決してギイの部屋を訪ねた。優しくタクミを出迎えたギイは、タクミに「今年の墓参り、俺も一緒に行かせてくれないか?」と切り出した。15日はタクミの兄の命日なのだ。ギイと一緒に兄の墓参りに行きたいと考えていたタクミは、ギイから申し出てくれたことを素直に喜ぶのだった。
だが、その喜びもつかの間、タクミは墓参り当日の15日に学校行事としておこなわれるスヌーカー大会にギイが出場することを知ってしまう。ギイはタクミの部屋を訪れて謝るが、タクミは冷たい言葉で突き放してしまう。すれ違ってしまったタクミとギイを、赤池や三洲新(馬場良馬)、真行寺兼満(内藤大希)は気にかけるのだが……。
そしてやってきた6月15日。前日まで降り続いた雨はやみ、晴れた青空が広がっていた……。