トーキョードリフター
監督:松江哲明
出演:前野健太
2011年12月10日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
2011年/ステレオ/72分
1999年、21歳のときに発表したデビュー作『あんにょんキムチ』が国内外の多数の映画祭で上映・受賞し、注目を集めた監督・松江哲明。インディーズ映画としては異例のヒットを記録した『童貞。をプロデュース』や、毎日映画コンクールドキュメンタリー賞を受賞した『あんにょん由美香』など、ドキュメンタリー映画の新たなかたちを見せてきた松江監督の最新作となるのが『トーキョードリフター』だ。
『トーキョードリフター』が撮影されたのは、2011年5月。東日本大震災に伴う電力不足により、これまで東京の夜を照らしてきた照明が消えた。多くの人が初めて見ることになった、薄暗い東京の繁華街。松江哲明は、その東京にカメラを向けた。
第22回東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」で作品賞を受賞した『ライブテープ』に続き、ミュージシャンの前野健太が再び松江作品に出演。スタッフも、山下敦弘監督作品などを手がける撮影の近藤龍人、冨永昌敬監督や入江悠監督などの作品に参加する録音の山本タカアキと、松江監督とともに『ライブテープ』を作りあげたメンバーが再び集結した。
撮影は、雨が降りしきる中、一晩で敢行された。使われたのは家電量販店で売られている1万円の民生用カメラ。生々しい映像は、バイクで移動しギターを抱えて歌う前野健太の姿をひたすら映し続ける。
「ドリフター」とは、英語で「漂流する者」の意味だ。東京の街を漂流するように歌いさすらう前野健太の姿は、未曾有の状況の前に戸惑いながら日常を送る私たちの姿と、どこかで重なっていくのではないだろうか。ほとんど説明を付け加えることもなく映し出されていく映像に、きっと観る者ひとりひとりが、それぞれに意味を見出していくはずだ。
- 前野健太
- 監督:松江哲明
- 撮影:近藤龍人
- 録音:山本タカアキ
- 制作:岩渕弘樹
- 車両:大西裕
- 現場記録:九龍ジョー
- 製作担当:星野友紀
- 音楽:前野健太
- 製作:Tip Top
- 配給:東風