はさみ hasami
監督：光石富士朗
出演：池脇千鶴 徳永えり 窪田正孝 なんしぃ 竹下景子 ほか
２０１２年１月14日(土)より新宿K's cinemaにてロードショー
２０１０年／カラー／35mm／ビスタサイズ／ステレオ／１１２分
美容理容専門学校の教員をつとめる永井久沙江（ながい・ひさえ）。技術につまづき自信を失ったり、家庭の問題から不安定になったり。迷いを抱える学生に久沙江は真摯に向きあっていく。『はさみ hasami』は、そんな教員と学生たちの群像劇だ。
久沙江を演じるのは、映画デビュー作『大阪物語』以降、多くの作品に出演し、いまや日本映画界に欠かせない存在となった池脇千鶴。誠実さと親しみやすさをあわせ持った久沙江は池脇の魅力が存分に発揮されたキャラクターといえるだろう。
美容科学生の木村弥生には、ベテラン・仲代達矢と共演した『春との旅』で多くの映画賞を受賞した徳永えり。同じく美容科学生の葉山洋平には『僕たちは世界を変えることができない。But,we wanna build a school in Cambodia.』などの窪田正孝。理容科学生の田村いちこには、お笑いコンビ“大好物”で活躍し本作が映画初出演となるなんしぃ。そして厳しくも優しく久沙江を見守る先輩教員の築木洋子には長いキャリアを持つ竹下景子。そのほか、綾野剛、石丸謙二郎、烏丸せつこらが脇を固める。
脚本・監督は『おぎゃあ』で高い評価を得た光石富士朗。前作『大阪ハムレット』では、ひとつの家族にスポットを当て巧みに群像劇を描いた光石監督が、今回も登場人物ひとりひとりのエピソードが絡まりあう、深みのある人間ドラマを完成させた。
本作には東京・中野の窪田理容美容専門学校が全面協力。ロケ協力や技術指導だけにとどまらず、実際の学校でのエピソードが脚本にも反映されている。また、中野区の後援により、区内各所でのロケ撮影が実現した。
はさみは、ものを「切る」ための道具だ。しかし、そのはさみを介して「つながる」絆もある。『はさみ hasami』は、壁にぶつかったとき、悩んだときに、互いに支えあう絆の大切さを教えてくれる作品だ。
多くの人が行き交う中野の街を、自転車で職場へと向かう永井久沙江（池脇千鶴）。彼女は、理容師や美容師を目指す学生たちが学ぶ理容美容専門学校の教員だ。
多くの学生は久沙江の授業を真面目に聞いているが、問題のある学生もチラホラ。葉山洋平（窪田正孝）は集中力に欠け、授業中にもほかの学生にちょっかいを出したりと悪ふざけを繰り返す。木村弥生（徳永えり）は、このところ何日も遅刻が続いている。授業のあとで久沙江に事情を聞かれた弥生は「ハサミが言うことを聞いてくれない」と答える。
そんな弥生は、実習室でひとりカットの練習をしている理容科の田村いちこ（なんしぃ）の姿を見かけ、いちこにアドバイスを求める。会ったばかりなのに打ち解けあったふたりは、学校が終わったあと遊びに行き、電車がなくなるまで楽しく過ごす。ずっと抱えていたモヤモヤを、そのときは忘れる弥生。
一方、洋平はいつものふざけが度を越して同級生たちと衝突、教室を飛び出してしまった。そのまま何日も欠席を続ける洋平を心配して彼の家を訪ねた久沙江は、洋平が普段は見せなかった素直な感情に触れることになる。
ときにはベテランの先輩教員・築木先生（竹下景子）から助言を受けながら、久沙江は弥生や洋平に美容師への道を歩ませようと努力を続ける。その甲斐あって、それぞれに目標を見つけて学校に通うようになった弥生と洋平だが、弥生や洋平、そしていちこも、思いも寄らない壁にぶつかることになる……。
“はさみ”がつなぐ、教師と生徒たちの物語。それぞれに悩む若者たちの行く先は……。
