
“へそ”とはものの中心を示す言葉である。そして“へそもり”とはへそを守る者のこと。『HESOMORI −ヘソモリ−』は、福井県を舞台に、不思議な力を持った“日本のへそ”と、そのへそを守る“へそもり”を巡るファンタジー映画だ。
祖父のあとを継いで伝統の越前和紙を作る紙漉き職人となったさとし。そしてさとしが祖父から継いだのは紙漉き職人の仕事だけではなかった。さとしは、ほかの時代に通じる山奥の不思議な穴=へそを代々守ってきた“へそもり”なのだ! 何者かがへその力を狙っていることを知り、さとしと幼なじみたちのへそを守るための奮闘がいま、始まる!
主人公のさとしを演じるのは永島敏行。頼もしさと優しさにユーモアも交えた演技で、子供の心を忘れない50歳の男性をリアルに演じてみせた。そして、子供のころさとしとともに“へそ”の不思議な力を体験した幼なじみには、渡辺いっけい、石丸謙二郎、中村育二、佐野史郎と、日本を代表する“アラフィフ”世代の男優が揃い、それぞれの個性を持った5人を演じる。そのほか“へそ”を狙う開発業者に村田雄浩、さとしの娘には谷村美月。さらにベテランの若林豪が、さとしの祖父・たけじい役で出演、年齢を感じさせない立ち回りも見せている。
脚本・監督は、テレビCMディレクターとして数々のCMを手がけてきた入谷朋視。自ら“第二の故郷”と呼ぶ福井の魅力を伝えるべく福井県内でのオールロケを敢行、歴史と伝統に彩られた豊かな風景を映像に収めている。
戦時の空襲、戦後間もない時期の大地震と、甚大な被害を受けながら復興を遂げた“不死鳥”の町・福井から、日本全国に向けて元気を発信するあたたかなエンターテイメント作品の登場だ。

相場さとし(永島敏行)は、福井県越前市で伝統の和紙を作る紙漉き職人。紙を漉くだけではなく、娘のリコ(谷村美月)とともに、観光客に向けて越前和紙の歴史のガイドもおこなっている。
子供のころからの友人で、いまは福井市で暮らすうっちゃん(渡辺いっけい)、エズ(石丸謙二郎)、おっさん(中村育二)と会ったさとしは、4人に井口(佐野史郎)を加えた仲良し5人組が、いまから40年前に体験した出来事を思い出していた――。
山菜を取るために山に入った10歳のさとしたち5人は、山の奥深くで偶然に古い祠を見つける。さらに祠の先には、まるで大きな井戸のような穴があった。好奇心にかられた5人が穴に入って探検を始めると、たどりついたのは刀を差した侍たちの時代! 藩士・右近時保(谷田歩)に怪しまれて危機に陥った5人を助けてくれたのは、さとしの祖父のたけじい(若林豪)だった。たけじいの話によると、あの穴は、いろいろな時代につながっている“日本のへそ”。たけじいは、1500年前から代々“へそ”を守ってきた“へそもり”だったのだ!
そして現在ではさとしが“へそもり”を受け継いで“へそ”を守っている。だが、さとしの周囲で不審な出来事がいくつか続いていた。2年ぶりに故郷に戻ってきた井口とは連絡がつかず、“へそ”を通って現代にやってきた右近の行方がわからなくなる。さらに、地域の再開発を進めている伊賀並(村田雄浩)が“へそ”の存在を知っているようだ。
“へそ”の力を悪用されれば大変なことになる。“へそ”をを守るため、さとしとうっちゃん、エズ、おっさんたち、50歳のオジサンがいま、立ち上がる!