
『ポルノスター』でデビュー以降『青い春』『ナイン・ソウルズ』など、刺激的な作品を送り出し続ける監督・豊田利晃。現在の日本エンターテイメント界で光を放つ3人の俳優、藤原竜也、松田龍平、水原希子。この4人の才能が出会い生まれた、尖ったナイフのような危うさを持った映画、それが『I'M FLASH!』だ。
酒酔い運転で死亡事故を起こした新興宗教団体の若き幹部・ルイ。南の島に身を隠すルイのボディガードを依頼された3人の男。ルイと男たちの間には、やがて奇妙な絆が生まれていくのだが……。
かねてより豊田作品への出演を希望していた藤原竜也は、ルイ役で主演をつとめる。大きな組織の頂点に立つカリスマながら、どこか飄々として不思議な魅力を持った人物・ルイを、藤原は見事に具現化している。
『青い春』『ナイン・ソウルズ』以来9年ぶりの豊田作品出演となる松田龍平が演じるのは、ボディガードのひとり・新野。脚本段階から松田の出演を想定していたとあって、豊田との信頼を感じさせる絶大な存在感を見せている。
『ノルウェイの森』で一躍女優としての注目を集めた水原希子は、ルイに近づく美女・流美を演じる。その謎めいた魅力は、まさに水原ならではのものだ。
そのほか、ミュージシャンで俳優としてのキャリアも豊富な仲野茂、出演作の続く若手・永山絢斗、豊田作品の常連といえる板尾創路ら、個性あふれる豪華なキャストが揃っている。また、タイトルの由来となった鮎川誠の楽曲「I'M FLASH」が、チバユウスケ、中村達也らによるスペシャルバンドの演奏で主題歌として使われているのも注目だ。

夜の道路で真っ赤なスポーツカーとバイクが事故を起こした。車を運転していたのは新興宗教団体・ライフイズビューティフルの若き教祖で“宗教界のプリンス”と呼ばれる吉野ルイ(藤原竜也)。同乗していた女性・流美(水原希子)は昏睡状態となり、バイクに乗っていた少年(柄本佑)は死亡した。
ルイの事故がマスコミを騒がせている中、海に囲まれた南の島に3人の男が集まっていた。新野(松田龍平)、神村(仲野茂)、祝(永山絢斗)だ。3人は、ルイの秘書・吉村(板尾創路)と契約を交わし、ルイのボディーガードを請け負う。
島にある教団の豪華な施設でルイは日々を過ごす。海へと潜り、銛で魚を捕る毎日。そんなルイのもとに姉のサクラ(原田麻由)がやって来た。ルイの事故がおおごとにならないよう手を尽くしているサクラは、気の向くままに過ごしているようなルイの態度に腹を立てるが、ルイは教団の解散を口にする。
教団はルイの祖父が興し、教祖の座は祖父、父、そしてルイへと受け継がれてきた。大きな組織となった教団には多くの人々が集まる。流美の妹も、信者のひとりだった……。
やがて、島を訪れた母親のナミ(大楠道代)に呼び出され、ルイ、サクラ、性転換した元・兄のカオル(北村有起哉)が集まった。母親に向かい、ルイは改めて教団解散の意志を伝えるのだが……。
島での時間をともにする中で、奇妙なつながりを育んでいた新野たちとルイ。その関係にいま、大きな変化が生まれようとしていた……。