
昭和57年、大阪は生野区に周囲から恐れられる凶悪な不良がいた! その名はセイキ(鎌苅健太)。実家は塗装屋で、子供のころに母親が死んで以来、おとうちゃん(山口智充)と兄との3人暮らし。夕食といえばキムチとおとうちゃんが市場で買ってくるコロッケばかりという毎日を送っていた。
小さなころから市場の金を盗んだり悪さを重ねてきたセイキ、いまでもタツヤ(池田純矢)やトシ(宮下雄也)とつるんで悪さをしてばかり。小学校のときから腐れ縁のライバル・ヤマト(中村昌也)とはしょっちゅうケンカを繰り広げている。
警官に噛みついて警察のお世話になることもあったセイキ、ある日ついに度が過ぎて、ひとり少年院に送られることになった。1年後、少年院を出たセイキを迎えに来たおとうちゃんが用意してくれた夕食のおかずは、コロッケだった……。
少年院を出たお祝いにと、セイキは先輩から女性を紹介された。セイキより年上で“オフィスレディ”のミチコ(ちすん)は、パンチパーマのセイキに脅えることもなく、セイキが在日であることや少年院に入っていた事実も平然と受け入れる。一緒に旅行に行ったり、自宅を訪れたりと仲を深めていくセイキとミチコだが、ミチコの両親はふたりの関係を認めようとしない。悔しさにまみれるセイキはヤマトの誘いも断って、ミチコとともに生きることを目指して働きはじめる。
そんなセイキにタツヤが思わぬ話を持ちかけてきた。ふたりでコンビを組んで芸人を目指そうというのだ。強引に誘われた世界だったが、「人を笑わせる」ことの素晴らしさに気づいたセイキは、笑いの道に打ち込む決意を固めるのだった。
いつしか“大人”へと変わりはじめていたセイキ。だが、懸命に走る日々の中で、セイキはある事実を知らずにいた……。