
女子高生のツブラは、さえない男性教師・マドカに想いを寄せていた。マドカを相手にある“妄想”を巡らせていたツブラだが、ある日その妄想が実現してしまう。ツブラとマドカの体の一部が入れ替わってしまったのだ――。
『恋に至る病』は、ちょっと風変わりな女子高生を主人公に“恋とセックス”を、コミカルでポップで、ちょっと病んでる(?)独特のタッチで描いた作品だ。監督・脚本は1986年生まれの新鋭監督・木村承子。『普通の恋』でPFF(ぴあフィルムフェスティバル)2009審査員特別賞を受賞し、第21回PFFスカラシップを得て『恋に至る病』を完成させた。
主人公のツブラを演じるのは、ファッション雑誌モデルとしてデビュー後、舞台や映画で活躍する我妻三輪子。どこか微妙に屈折しているツブラという少女を、キュートに切なく、それでいてとびきり魅力的に演じてみせた。
ツブラが恋する生物教師のマドカには、青山真治監督作品の常連俳優・斉藤陽一郎。本作では、他人とうまくコミュニケートすることのできないダメな中年男を演じ、新境地を見せている。
そして、ツブラの友人のエンには幅広い作品に出演し若手実力派としての評価をたしかなものにしている佐津川愛美、ツブラたちの同級生・マルには『ヒミズ』で高評価を得た染谷将太と、いま注目の若手俳優が共演している。
音楽は“トラウマテクノポップ”をコンセプトにするバンド・アーバンギャルドが担当、作品世界をより鮮やかに彩った。
ツブラとマドカ、エンとマル、4人の男女が描き出す奇妙なサークル(円)。現実にはあり得ないような設定ながら、観客の胸にある記憶をチクッと刺激するような、ユニークな“恋愛”映画の誕生だ。

生物の授業が行われている高校の教室。女子生徒のツブラ(我妻三輪子)の視線の先にあるのは、教師のマドカ(斉藤陽一郎)の姿だ。生徒の私語も注意することのできないさえない教師のマドカだが、ツブラは彼の癖のひとつひとつまで覚えるほど、マドカのことをずっと想い続けていた。
そんなツブラは普通の食べ物は食べず、保存料の入った保存食やサプリメントで食事を済ます。数少ない友人のエン(佐津川愛美)に呆れられても、ツブラはその食生活を変えようとはしない。
ツブラは、ノートにマドカとの妄想を描いていた。いつかマドカと、互いの体の一部を交換することができたら――。そしてある日の放課後、強引にマドカに迫ったツブラはついにマドカと結ばれるのだが、なぜかツブラの妄想が現実となってしまった。ツブラとマドカの体の一部が入れ替わってしまったのだ!
動揺したマドカは、ツブラを連れて車を走らせる。行き先は、いまは空き家となって誰も住んでいないマドカの実家。マドカが高校生まで暮らしていた家にツブラは興味津々。だが、マドカはショックのためにツブラが近づくと嫌悪感をもよおしてしまうのだった。
ツブラとマドカ、ふたりの奇妙な生活が続く中、ふたりを追ってエンもやってきた。さらに、エンを追って同級生のマル(染谷将太)もやってくる。ツブラとマドカは、エンとマルにふたりの秘密を隠そうとするのだが――。
ひとつ屋根の下で暮らすことになった4人は果たして?