
田園が広がる一見のどかな地方都市。しかし、2年前から世界中に蔓延しているアンデッド・ウィルス(UDV)の猛威は、赤星逝雄(荒井敦史)と消子(ヒガリノ)の兄妹が暮らすこの町にも広がっていた。UDVは体液を介して感染し、感染すると次第に運動機能が低下して体に緑色の斑点が出る。その症状は5段階に分けられており、レベル5に至ると心臓も思考も停止しているのに動き回る“ゾンビ”となってしまうのだ。今日も、逝雄と消子の目の前で近所の人がゾンビになった。
逝雄もUDVの感染者である。逝雄は現在レベル3の初期。ストレスはUDVを進行させる要因となるため、医師の誤藤(永岡卓也)はなるべく心穏やかに過ごすようにとアドバイスするのだが、政府の感染者への対応も世間の感染者差別もひどいもの。恋人の茜(しほの涼)の態度もどこか不可解で、逝雄もなかなか心穏やかではいられない。
そんな逝雄、高校時代はバンドをやっていた。往診にやってくる看護師の桜井(中島愛里)は、そのことを知って興味ありそうな様子。逝雄は桜井に演奏を聞かせようと、友人の面井(川村亮介)に協力してもらってギターの練習を再開する。
消子、父の浩止(小林すすむ)、母の冥子(円城寺あや)、一丸となって逝雄を支える赤星家。だが、かさむ逝雄の治療費は家計を圧迫。兄の回復を願ってバイトに励んでいる消子だがそれだけではまだ足りない。消子はお金を稼ぐためにアイドルを目指そうとひそかに決意を固めていた。その様子を陰から見守る消子の同級生・矢白(阿久津慎太郎)。
家族や、恋人や、友人や、なんかよく関係のわからない人たちや、逝雄を取り巻く人々それぞれの想いが交錯する中で、逝雄のゾンビ化は徐々に進行していく……。