先生を流産させる会
監督:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀 小林香織 ほか
2012年5月26日(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー
2011年/カラー/HDV/62分
『先生を流産させる会』。このショッキングなタイトルは、実在した“会”の名前である。2009年、愛知県の中学校で、1年生の男子数人が“先生を流産させる会”を名乗り、妊娠中の担任教師の給食に異物を混ぜるなどの行為をおこなっていたのだ。教師とお腹の子供に健康上の影響はなかったが、中学生の悪戯というにはあまりに衝撃的な事件は世間に大きな波紋をもたらした。この事件に着想を得て制作されたのが映画『先生を流産させる会』だ。
ある中学校の教師・サワコの妊娠を知ったとき、ミヅキたち女生徒のグループはある会を結成した。その名は「先生を流産させる会」。ミヅキたちはサワコの給食に薬品を混ぜ、サワコの椅子に細工する。やがてサワコは“会”の存在に気がつくが……。
監督・脚本は内藤瑛亮(ないとう・えいすけ)。映画美学校で学び、短編『牛乳王子』が国内外の映画祭で上映され注目を集めた期待の新鋭である。劇場長編第1作となる『先生を流産させる会』では、センセーショナルゆえに困難ともいえる題材を作品へと昇華させる力強い演出で、その力量を証明している。
ミヅキを演じる小林香織をはじめ、生徒役には映画出演経験がなく、演技すらほぼ未経験の少女たちが起用された。彼女たちが放つ生々しい空気を、教師・サワコを演じる宮田亜紀がしっかりと受け止めている。
映画では“会”を結成する生徒たちは女子へと変更されている。それにより映画『先生を流産させる会』には、少女が抱える成長への戸惑いと嫌悪が色濃く漂っている。そしてサワコの一貫した表情は、戸惑う子供たちに向けたひとつの答えを示しているようにも感じられる。『先生を流産させる会』は、大人たちに、これから大人になる者たちに、“生きる”ことを問う。
- 宮田亜紀
- 小林香織
- 高良弥夢
- 竹森菜々瀬
- 相場涼乃
- 室賀砂和希
- 大沼百合子
- 監督・脚本:内藤瑛亮
- 脚本協力:佐野真規/松久育紀/渡辺あい
- 撮影:穴原浩祐
- 照明:星野洋行
- 録音:黒須健
- 美術:原太一
- 特殊造形:麻草郁/音楽:有田尚史
- 編集:冨永圭祐
- ロゴデザイン:勝彦
- CG:谷脇邦彦
- 整音:中瀬慧/黄永昌
- 助監督:佐野真規
- 制作進行:笠原雄一
- 音楽:有田尚史
- 企画:内藤組
- 製作協力:映画美学校
- 製作:内藤瑛亮