
都会の片隅で暮らす一組の姉妹。妹を悩ます悪夢は、姉妹と妹の恋人を恐怖へと引きずり込んでいく。姉妹の過去に隠された悪夢の元凶が明らかになるとき、彼女たちを待っているものは?
都市に潜む霊の恐怖と人間の心の闇を描き出すホラーシリーズ「都市霊伝説」。その第3弾となるのが『都市霊伝説 クロイオンナ』だ。今回の恐怖を生み出すのは“夢”。日常が次第に浸食されるような恐怖が描かれる。
注目の若手俳優が起用されてきたこれまでの「都市霊伝説」シリーズ同様、今回も期待の若手キャストが顔を揃えている。悪夢に悩まされる妹を支えようとする姉・日花里(ひかり)役でもの静かな中に強い意志を感じさせる演技を見せるのは、全日本国民的美少女コンテスト出身で『夜のピクニック』『グーグーだって猫である』などに出演する高部あい。妹の由岐役で、恐怖のために心のバランスを崩していく難しい役に挑んだのはドラマ「湯けむりスナイパー」の大野未来。由岐の恋人でどこか陰を持つ青年・大島役で新たな魅力を見せるのはミュージカル「テニスの王子様」や映画『寒冷前線コンダクター』などの高崎翔太。そして、主演の若手3人に加え、長いキャリアを持ち『行旅死亡人』『恐怖』など個性派監督たちの作品に多く出演する長宗我部陽子が姉妹の母親役で出演し、鮮烈な印象を残す。
監督は『童貞放浪記』『結び目』などの小沼雄一。「都市霊伝説」シリーズ1作目からメガホンをとる小沼監督が、抑制の効いた演出と繊細な人間描写、秀れた恐怖表現で「都市霊伝説」の新たなページを開く。
毎夜、悪夢に現れる光景に隠された衝撃の事実。夢があなたをクロイ闇へと導く――。

今日もそいつはやって来る。建物の廊下を向こうから歩いてくる、全身黒づくめで、顔までも真っ黒な女――。
年老いた店主が営む小さなテイラーで働く日花里(高部あい)には、由岐(大野未来)という妹がいた。由岐は、毎日のように黒づくめの女の悪夢にうなされていた。その“クロイオンナ”の姿は夢の中だけに留まらず、昼間でさえも由岐の前に現れ、由岐を苦しめていた。
“クロイオンナ”の幻影を見るたびに日花里に助けを求める電話をかけてくる由岐。周囲から由岐に優しすぎるのではないかと指摘されることもあるが、日花里は自分の力で由岐を支えようとしていた。
ある日、日花里は由岐から妊娠を告げられる。相手は恋人の大嶋(高崎翔太)。遺品整理をおこなう会社につとめ、日々、孤独死などにより主を失った家の後始末に携わってる青年だ。由岐とつきあいつつも最初から結婚を考えていなかった大嶋は、由岐の出産を望んでいなかった。
相変わらず“クロイオンナ”の幻影に悩まされて不安定な由岐に替わって、話し合いのために大嶋と会う日花里。それがきっかけとなり、日花里と大嶋はたびたび会うようになっていった。
やがて、日花里は大嶋に由岐を苦しめている“クロイオンナ”に関するある事実を明かす。由岐を悩ます幻影の背後には、幼いころの日花里と由岐、そしてふたりの母親(長宗我部陽子)が体験した凄惨な出来事があった――。
姉妹の過去の記憶は、姉妹と大嶋をさらなる恐怖へと誘っていく!