大きな借金を背負い、人生に絶望した木村一徳(豊原功補)。ビルの屋上へと登った一徳を踏みとどまらせたのは、不思議な少女がかけてきた「おじさんを待ってる人がいるよ、あそこに」という言葉だった。
やがて一徳は、住宅リフォーム会社に営業担当として入社し、福島に赴くことになった。一徳が福島を赴任先として選んだのは、あの少女が指差していた方角が福島のように思えたからだった。そして、一徳が福島に向かうのと同じころ、あの少女・一ノ瀬凛(寿理菜)も、父の孝一(大鶴義丹)とともに福島へと向かっていた。
福島で暮らす高校生の大越健人(葉山奨之)は、通っていた高校が被災したため、サテライト校である現在の高校に通っている。陸上部に所属して練習に励んでいるのだが、スランプから脱することができない。河原でひとり練習していた健人に声をかけたのは、近くの小学校に転校してきたばかりの凛だった。
一徳は、会社からの指示で、ひとり暮らしの木暮百合子(松原智恵子)の家を訪れていた。老人相手に強引にリフォームの契約を結ばせるのが会社のやり方なのだが、一徳はどうしても強引な営業をすることができない。繰り返し百合子の家を訪れる一徳は、戦争中に兄と両親を亡くしてしまった百合子の哀しみを知ることになる。
やがて、なにかに引き寄せられるように一徳と凛と健人、百合子はめぐり会う。凛によると、凛と健人は“お母さん”と“お父さん”、一徳は“お兄ちゃん”で、4人は“家族”だというのだ……。
“家族”として過ごす時間の中で、4人がそれぞれが見つけ出していくものとは……。
トテチータ・チキチータ
監督:古勝敦
出演:豊原功補 寿理菜 葉山奨之 松原智恵子 ほか
2012年3月10日(土)よりフォーラム福島、ポレポレいわき、会津東宝にて先行公開 4月7日(土)より銀座シネパトス、横浜ニューテアトルほか全国順次ロードショー
2011年/カラー/ビスタサイズ/35mm/95分
人生に絶望した中年男。戦時中の記憶を蘇らせる老婦人。他人には見えないものが見える小学生の少女。スランプから脱せない陸上部員の高校生。年齢も住む場所も違う4人は、不思議な力に引き寄せられるように福島で出会った。4人をつなぐ“家族”の絆。そして、家族を見守る龍・トテチータの伝説――。『トテチータ・チキチータ』は、福島を舞台に描かれる、絆と再生の物語だ。
『トテチータ・チキチータ』は、福島を舞台に映画を制作しようと2007年に企画がスタートし、2011年夏の撮影が予定されていた。だが、2011年3月の東北大震災の影響により企画は一旦ストップを余儀なくされた。製作中止も考えたスタッフを続行に向け後押ししたのは「この映画をとおして福島ががんばっていることを伝えたい」という地元の人々の声だった。古勝敦(こかつ・あつし)監督は、震災後の福島の状況を盛り込んでシナリオに改稿を加え、まさに福島の“いま”を伝える映画として『トテチータ・チキチータ』は完成した。
主人公の中年男・一徳を演じるのは、ドラマや映画、舞台で活躍する豊原功補。福島で暮らす老婦人・百合子には、ベテランの松原智恵子。不思議な少女・凛には古勝監督が見出した新人の寿理菜(じゅりな)。陸上部員の健人にはこれが映画初出演の葉山奨之(はやま・しょうの)。そのほか、大鶴義丹、石堂夏央、佐藤仁美、斉藤暁ら、幅広いキャストが顔を揃えた。
当初の予定から2ヶ月遅れとなる2011年10月にクランクインし、震災後初となる福島県での大規模な映画ロケを敢行。エキストラ出演など地元の人々の全面的な協力を得た『トテチータ・チキチータ』は、福島から“希望”を発信する。
- 木村一徳:豊原功補
- 一ノ瀬凛:寿理菜
- 大越健人:葉山奨之
- 木暮百合子:松原智恵子
- 一ノ瀬孝一:大鶴義丹
- 玲子:石堂夏央
- 森下:佐藤仁美
- 中村エリカ:萩原うらら
- 諏訪先生:井村空美
- 鶴田先生:斉藤暁
- 監督:古勝敦
- 脚本:古勝敦/北里宇一郎
- プロデューサー:古勝たつ子/岡田裕/古川雅裕
- ラインプロデューサー:萩元優彰
- アシスタントプロデューサー:平賀貫一
- 撮影:高橋清
- 照明:鈴木大地
- 技術:田代浩由紀
- 録音:高橋修平
- 美術:石毛朗
- 編集:古勝敦/綿来清美
- 助監督:佃謙介
- 製作担当:酒井識人
- 衣裳:宮本まさ江
- ヘアメイク:中島民子
- VFX:クリプトメリア
- スチール:遠藤彰
- メイキング:サトウトシキ/竹浪春花
- 制作主任:江島進
- 制作進行:阿部達也
- 音楽:棚谷祐一
- 音楽制作:ソニック福岡/田川政行
- 製作・制作:株式会社テクノストレス
- 配給・宣伝:アルゴ・ピクチャーズ