ジ、エクストリーム、スキヤキ
監督:前田司郎
出演:井浦新 窪塚洋介 市川実日子 倉科カナ ほか
2013年11月23日(土・祝)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
2013年/カラー/ビスタサイズ/DCP/111分

ある日、15年ぶりに学生時代の友人の家を訪れた青年。いつしか、友人の同棲相手と、学生時代の女友達も加わって、4人は車で海へののんびりとした旅に出る。スキヤキ鍋を携えて……。
劇団“五反田団”を主宰し、戯曲、小説、ドラマシナリオの各分野で受賞経験を持つなど、ジャンルを越えて活躍する前田司郎。自身の戯曲の映画化作である石井岳龍監督『生きてるものはいないのか』や、沖田修一監督『横道世之介』で映画脚本も手がけてきた注目の才能が、ついに映画監督デビューを果たす。初の監督作『ジ、エクストリーム、スキヤキ』は、4人の若者たちの、ささやかで穏やかで、しかし“エクストリーム”な旅を描くロードムービーだ。
物語の中心となる青年・洞口(ほらぐち)を演じるのは井浦新、洞口の突然の訪問を受ける大川には窪塚洋介。2002年公開の『ピンポン』で共演し、プライベートでも親交を結んできたふたりが、同作以来の共演で息のあった掛け合いを見せる。
そして、大川の同棲相手・楓には倉科カナ、学生時代からの洞口たちの仲間・京子には市川実日子。タイプの異なるふたりのヒロインを、ふたりの女優が魅力的に演じている。
音楽は、2011年に活動休止を発表したムーンライダーズの岡田徹。監督の希望によりムーンライダーズの曲がオリジナルやカバーバージョンで随所に使われ、ストーリーに密接に関係していく。また、岡田徹はある場面で出演も果たしている。
登場人物たちが繰り広げていくユーモラスな会話と、その中に垣間見える“人が生きる”ということ。きっと、映画を観る者ひとりひとりが、それぞれに4人の旅の意味を見出していくことだろう。

ある日、洞口(井浦新)が大川(窪塚洋介)の暮らす部屋に突然やって来た。大学生のころは親しかったふたりだが、共通の知人である“峰村”の関係するある出来事があって以来、つきあいは途絶えて15年。久々すぎる再会に戸惑う大川は「俺、洞口さんのこと許したわけじゃないからな」と口にするが、当の洞口はまるでそんないきさつなど気にしていないような様子。
そのうち大川もなんとなく洞口のペースに巻き込まれてしまって、ひそかな目標を洞口に打ち明けてみたり、ふたりでぶらぶらと町を歩いたり、洞口と行動をともにするようになる。
そして、洞口がスキヤキ鍋を持って大川の部屋にやってきたのがきっかけとなり、洞口と大川、大川と同棲している恋人の楓(倉科カナ)は、なぜか海へと出かけることになった。さらにもうひとり、洞口と大川の学生時代の仲間である京子(市川実日子)も、突然の洞口の連絡に驚きながらも同行することに。
学生時代から洞口が乗っている車に乗り込み、大川が部屋で作っていた大きなブーメランも携えて出発する4人。学生時代から片付けていないという車の中には、いまとなっては懐かしいカセットテープや、読みかけのまま京子が忘れていた本がそのままに残されていた……。
やがて車は海へとたどり着く。冬の冷たい風が吹く砂浜に立つ4人。手製のブーメランを海に向かって力一杯投げる大川。スキヤキのために肉や野菜を買い込んで、4人は車で帰路に着く。車の中には、学生のころに洞口や大川、京子が聴いていたムーンライダーズの曲が流れ出す……。