ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜
監督:及川善弘
出演:長塚京三 須賀健太 能年玲奈 福田沙紀 ほか
2013年1月26日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
2012年/カラー/デジタル/ステレオ/ビスタ/110分

1959年6月30日。沖縄嘉手納基地から飛び立ったアメリカ軍のジェット戦闘機が操縦不能に陥り、宮森小学校に墜落炎上した。11名の学童と住民6人の命が奪われるなど多大な被害を出したこの事件を取り上げ、事件から50年以上を経たいま、ほんとうの平和とはなにかを問いかける映画が『ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜』である。
映画の主人公は、小学生のときに墜落事件を体験して友人を失った老人・良太。大学生である良太の孫たち若い世代が事件を調べていくというストーリーをとおして、事件が残したものや、基地のある沖縄の抱える葛藤までを描き出していく。
良太を演じるのは日本映画界の誇る名優・長塚京三。久々の主演作となる本作では、事件の記憶を抱えて生きるひとりの男性の姿を誠実に演じてみせた。
良太の孫の琉一には「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなど子役時代から演技に定評のある須賀健太。琉一のガールフレンド・加奈には2013年NHK連続テレビ小説主演も決まっている能年玲奈。良太が通っていた小学校の教諭・聡子先生には『櫻の園』『ヤッターマン』などの福田沙紀。そのほか、若手俳優集団D-BOYSの鈴木裕樹や、沖縄出身のヒガリノら多彩なキャストが出演。沖縄の子役たちや沖縄演劇人も多数出演し、リアルな沖縄の空気を生んでいる。
監督の及川善弘をはじめ、スタッフは日本映画界を支える精鋭が集結。また、2012年にメジャーデビューを果たした期待の沖縄出身バンド・Civilian Skunkが主題歌「ひまわり」を担当するのに加え、クライマックスのコンサートシーンでは特別出演も果たしている。

2004年、沖縄・宜野湾市。孫を迎えに来ていた山城良太(長塚京三)は、米軍のヘリコプターが煙をあげながら沖縄国際大学に墜落するのを目撃する。周囲が騒然となる中、良太の脳裏には自分が小学生のころの記憶が蘇っていた……。
1959年。良太は、石川市の宮森小学校に通う6年生だった。仲良しなのは同級生の繁と豊と2年生の一平。ある日、良太たちのクラスに転校生の広子がやってきて、広子も良太たちと一緒に遊ぶ仲間になった。聡子先生(福田沙紀)の呼びかけで、校庭の花壇にヒマワリの種を撒く良太たち。だが、花壇のヒマワリも大きな花を咲かせはじめた6月30日、事件が起こる。ミルク給食の時間、突然轟音とともに大きな衝撃が教室を襲った。米軍のジェット機が校舎に激突したのだった。惨状と化した校舎を逃げる子供たち。幸い良太は無事だったが、良太が再び広子や一平の笑顔を見ることはなかった……。
宮森小ジェット機墜落事件から53年を経た2012年。沖縄国際大学の学生・琉一(須賀健太)は、ガールフレンドの加奈(能年玲奈)たちとともに、ゼミ活動として沖縄国際大学ヘリ墜落事件と宮森ジェット機墜落事件について調査レポートを作ることになった。宮森ジェット機事件の関係者たちの証言を集める琉一たちは、50年以上前の事件がいまも人々の心に深い傷を残していることを実感していく。琉一の祖父である良太も、事件の記憶に苦しむひとりだった。
ゼミの仲間たちは調査活動を進める中で沖縄と米軍基地の関係について改めて考えていくのだが、それはそれぞれの立場や考え方の違いを浮き彫りにしてしまう。琉一たちが平和を考えるコンサートを企画する中、加奈は意志でゼミを離れていく。そして、コンサート開催にもさまざまな障害が持ち上がっていく……。