恐竜を掘ろう
監督:大和田伸也
出演:松方弘樹 内山理名 入江甚儀 小野花梨 鈴木砂羽 ほか
2013年3月30日(土)より 有楽町スバル座ほか全国ロードショー 2月23日(土)より福井県先行ロードショー
2013年/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/117分

人生に虚しさを感じているひとりの男。不思議な少女との出会いが、まるで“化石”のように深く埋もれていた彼の心を静かに掘り起こそうとしていた――。
永きにわたりテレビドラマや映画、舞台で活躍するベテラン俳優の大和田伸也が、子供のころからの夢を実現させて初めて映画監督に挑戦した作品が『恐竜を掘ろう』だ。大和田監督自身の故郷である福井県を舞台に、貴重な化石が多数発見されている“恐竜王国”という福井の特色をストーリーに盛り込んだ、あたたかなヒューマンドラマとなっている。
主人公の草介を演じるのは、出演映画が150本を越えるベテラン・松方弘樹。飄々とした言動の中にふと陰を覗かせる役柄で、俳優生活50年以上にして新たな魅力を見せる。
そして、ある出来事から草介と行動をともにする幸子にはドラマや舞台でも活躍する内山理名。さらに恐竜の卵を発掘する夢を持つ青年・義明には映画『もしドラ』などの入江甚儀、草介と出会う不思議な少女・君(キミ)には『鈴木先生』などの小野花梨(おの・かりん)と期待の新鋭が揃い、そのほか、話題作への出演が続く鈴木砂羽、個性派の古舘寛治、映画の舞台・福井県出身の元・モーニング娘。高橋愛、映画監督としての顔も持つ木村祐一、ガッツ石松ら、多彩なキャストが顔を揃えた。
撮影は福井県の各市で敢行。世界有数の恐竜博物館である福井県立恐竜博物館や化石発掘現場、氣比神宮、越前陶芸村、能面美術館、赤レンガ倉庫など、福井各地の名所が美しく映像に収められている。
福井の魅力を存分に伝えるとともに“生きることの意味”を、現代を生きる人々にやさしく問いかける作品の誕生だ。

沢木草介(松方弘樹)は若いころから福井市に暮らして40年。独身で毎日を気ままに過ごしているように見えるが、このところなにか虚しさを覚え、世話好きな町の人々を疎ましく感じるようになっていた。
しばらく前から、草介の営む美術骨董品店の前に、セーラー服を着た少女が訪れるようになっていた。外から店の中を見つめているが決して店内に入ってくることのない少女のことが気になった草介は、ある日、少女に声をかける。少女の名前は、山田君(小野花梨)。君は、草介に謎の言葉をかけると立ち去っていってしまった。
その日から、君は草介の店を訪れることがなくなった。そして草介のもとに届いた君からの手紙には、ただ「生きてますか」という文字だけが書かれていた――。
そのころ、君は、偶然のきっかけから松本義明(入江甚儀)という青年と出会っていた。義明は、他人とうまく接することができないが、恐竜については強い興味と深い知識を持ち、恐竜博物館で研究の手伝いをしていた。君は、そんな義明とまるで兄妹のように接し、義明の姉・幸子(内山理名)は、義明に初めて親しく接することのできる相手ができたことを喜ぶ。そして君は、恐竜の卵の化石を発掘したいという義明の夢を一緒に叶えようとする――。
一方、手紙の消印を頼りに訪ねた君の家で、母親の京子(鈴木砂羽)から君がここ数日家に帰っていないことを知らされた草介は、君の行く先の手がかりを求め、県内のあちらこちらを訪ね回る中で、思わぬ出会いをする。
君は店の外からなにを見つめていたのだろうか――。小さな事件が、さまざまな人の想いを映し出そうとしていた。