海をのぞむ小さな町の駅に、ひとりの美しい女が降り立った。男たちが誰しも視線を奪われてしまうほどの美貌を持った彼女の名は、鈴原未帆(高岡早紀)。
未帆はその町にレストランを開いた。料理のおいしさもさることながら、なによりもオーナーである未帆の美しさが評判となり、店は連日多くの客が詰めかけるようになっていた。ある日、未帆はレストランを訪れた客の中に、ひとりの男の姿を見つける。その男・高木英介(加藤雅也)のことを、未帆はずっと見つめ続けていた……。
同じ町で、もうずいぶん前のこと。高校生の田淵和子は、生まれついての醜い顔で、学校の生徒たちばかりか実の母親や姉からさえも虐げられていた。そんな和子も、同じ高校の男子生徒にひそかに想いを寄せていた。端正な顔立ちで優しく、和子を避けることのない彼。そして和子には、彼との美しい思い出があった。だが、彼への想いは和子をある行動へと駆り立てる。和子はそのために町の人々から“モンスター”とまで呼ばれるようになり、追われるように東京へと出ていく……。
東京でも醜い顔のために辛い日々を送る和子だったが、雑誌の広告を偶然に目にしたことが彼女の転機となった。美容外科医・横山(大杉漣)のクリニックを訪れた和子は、目を二重に整形。簡単な手術であったが、顔の変化は彼女の内面にも変化をもたらしていく。彼女は大掛かりな手術を受けるために、ひたすらに金を稼ぐ。
やがて大金をかけた手術により完璧な美を手に入れた彼女は、崎村(村上淳)のもとで働きはじめた。彼女の美貌に男たちは誰もが虜になっていく。そして……。
モンスター
監督:大九明子
出演:高岡早紀 加藤雅也 村上淳 大杉漣 ほか
2013年4月27日(土)より丸の内TOEI、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかロードショー
2013年/カラー/HD/シネマスコープ/5.1ch /114分
生まれついての醜い容姿のために虐げられた人生を送ってきたひとりの女性は、整形手術を繰り返し完璧な美貌の持ち主へと生まれ変わった。そして彼女は生まれ育った町へと戻る。かつて自分を“モンスター”とまで呼び、追いやった町に彼女が戻ってきた理由とは!?
人気作家・百田尚樹が、女性の「美しさ」への欲求を題材に、人間の本質を鋭いタッチで描いたベストセラー小説「モンスター」。その内容から映像化困難と思われていた作品が、映画『モンスター』として衝撃の映像化を果たした。
主演をつとめる高岡早紀は、美しくなった主人公だけでなく“バケモノ”とまで呼ばれる醜い姿も、特殊メイクを用いてひとりで演じている。姿とともに内面までもが変化していく過程を見事に表現したその演技は必見だ。さらに、レコーディングは実に21年ぶりという高岡の歌声が山下洋輔のピアノ演奏に乗ってエンディングを飾る。
そして、主人公と深い関係になっていく男・英介には加藤雅也、あるきっかけから主人公の人生に関わりを持つ崎村には村上淳、主人公を美しく変貌させる美容クリニックの医師には大杉漣と、共演には実力派男優が揃った。
監督は『恋するマドリ』『東京無印女子物語』などの大九明子。脚本は『ばかもの』『自縄自縛の私』などの高橋美幸。さらに撮影の大沢佳子、特殊メイクの江川悦子と、主要パートには女性スタッフが揃っている。
彼女がずっと求めてきたものはなんなのか? 『モンスター』は、決してショッキングなだけの物語ではない。そのラストシーンは、観る者の“心”を映し出す。
- 鈴原未帆:高岡早紀
- 高木英介:加藤雅也
- 崎村:村上淳
- 横山:大杉漣
- 監督:大九明子
- 原作: 百田尚樹「モンスター」(幻冬舎文庫)
- 脚本:高橋美幸
- エグゼクティブプロデューサー:高野育郎
- 製作:関谷匡男/伊藤佳央理/小玉圭太
- 企画:伊藤秀裕
- プロデューサー:鷲頭政充
- 撮影:大沢佳子(J.S.C.)
- 照明:松隈信一
- 録音:沼田和夫
- 美術:黒川通利
- 装飾:天野竜哉
- 編集:洲武迪b子
- 整音:深井康之
- 音響効果:橋本正明
- ヘアメイクディレクション:冨沢ノボル
- 特殊造型・特殊メイク:江川悦子
- 助監督:石川浩之
- 制作担当:坂口智久/野崎竜一
- 音楽:遠藤浩二
- エンディング曲:高岡早紀「君待てども 〜I'm waiting for you〜」 (ビクターエンタテインメント)
- 製作:グループ アム/エクセレントフィルムパートナーズ/幻冬舎
- 制作プロダクション:エクセレントフィルムズ
- 配給:アークエンタテインメント
- 宣伝:MUSA