
河原でたき火をする学生服の少年(石田法嗣)と、彼と会話をする少女(我妻三輪子)。少年の名前は朋之。彼が“親父”と呼ぶ男・芳男(佐野和宏)と、年上の裕也(奥津裕也)とともに、祭りの屋台でお好み焼きを焼くテキ屋をやっている。ひとつの家で「家族」として暮らしている彼らだが、血の繋がりはない。自分たちのことを“代用品”という朋之。
そして、ユキと呼ばれることになった少女も「家族」の一員に加わることになる。だが、その矢先に朋之たちが暮らしていた家は突然に取り壊されることになった。残ったのはわずかな立ち退き料。
いつも芳男が酒を呑む店の主・藍子(洞口依子)の手助けも受けて「家族」は1台のトラックに乗り、あちこちの祭りを回る巡業の旅に出ることになった。朋之たちが乗り込んだトラックの荷台には、裕也とつきあっている女性・明美(神楽坂恵)もいつの間にか忍び込んでおり、巡業の旅に加わることになる。
最初に訪れた町で、朋之たちは日向(ひなた:坪井麻理子)という女性と知り合う。朋之たちの仕事を面白がる日向は毎日のように屋台を訪れ、朋之やユキたちと打ち解けていく。朋之たちが町を離れる日、ユキたちは日向の抱える事情を知ることになる。そして翌日、一緒に旅に出ようとする日向に、芳男は「お好み、焼けるか?」とだけ尋ね、一行に加える。
芳男と、裕也と、朋之と、明美と、ユキと、日向。6人になった「家族」は、まるで修学旅行を楽しむかのように旅を続けていく。しかし、芳男たちのようなテキ屋の居場所はどんどん少なくなっていた。季節が移り変わっていく中、芳男に率いられて「家族」がたどりついた場所は……。