山陰にある小さな藩・因幡藩。剣術師範の原田大八郎(平岳大)の指導のもと寒稽古に励む若き藩士の中に、香川廣樹(脇崎智史)の姿があった。剣術の腕はたしかだが、勝つためならば手段を選ばないという廣樹の姿勢は、周囲との衝突を生むこともしばしばであった。そして廣樹は、いまから12年前に藩を守るため、ひとり罪を被って切腹した男の息子であった――。
そのころ、因幡藩の城代家老・荒木源義(若林豪)は、藩の中に不審な動きがあるとの報告を受けていた。幕府から遣わされた剣術指南役の松宮十三(目黒祐樹)が藩の内状を探っているというのだ。因幡藩が倹約に倹約を重ねて蓄えた余剰金の存在が幕府に知られれば、幕府のために差し出さねばならなくなる。荒木は、用人の舟瀬太悟(中原丈雄)に松宮の動きを監視するよう指示を出す。
一方、剣の道を極めようとする廣樹は他藩への剣術修行を願い出ていた。廣樹のひたむきな剣への想いを知る原田はその願いを叶えようとしていたが、廣樹の型破りな剣を嫌う松宮が首を縦に振らず、廣樹の願いは聞き届けられないままであった。廣樹の友人・木村との結婚を控える姉の由紀(さとう珠緒)は、そんな廣樹を案じつつ、やさしく見守るのであった。
松宮の動きを探る荒木は、事態がいよいよ切迫してきたことを知る。松宮はすでに藩の隠し田や隠し蔵について綿密な調べを進めていた。そして、幕府の使者・西崎隆峰(栗塚旭)が間もなく因幡藩を訪れることになっていた――。
藩の存亡に関わる事態の中、荒木はひとつの決断をくだす。廣樹や原田、由紀たちもまた、その決断の中に巻き込まれていくのだった。いま、雪の因幡藩で大きな動きが起ころうとしていた――。
蠢動-しゅんどう-
監督:三上康雄
出演:平岳大 若林豪 目黒祐樹 中原丈雄 ほか
2013年10月19日(土)より全国ロードショー
2013年/カラー/16:9DCP/5.1ch/102分
藩を守ろうとする城代家老。厚い信頼を集める剣術師範。剣の道を極めんとする若き藩士。それぞれが持つそれぞれの“正義”。その“正義”が、山陰の小さな藩に嵐を起こす――。
藩の存亡をめぐって登場人物各々の思惑が交錯する緊迫感あふれる政治劇と、躍動する“走る”“斬る”の殺陣。往年の時代劇の醍醐味を現代に伝え、さらに新たな魅力を生み出した本格時代劇、それが『蠢動-しゅんどう-』だ!
監督の三上康雄はかつて関西自主映画界で活躍し、1982年には本作の原形となる時代劇『蠢動』を製作した。その後、家業を継ぎ会社経営者として辣腕を振るったが「自分の観たい時代劇を創る」ため、会社経営から退いて本作製作に臨んだ。
その監督の想いに応えるように、日本映画界の誇る俳優たちが参加、豪華共演が実現した。城代家老の荒木源義には若林豪、剣術指南役の松宮十三には目黒祐樹、家老付き用人・舟瀬太悟には中原丈雄らベテラン勢に加え、剣術師範の原田大八郎に平岳大、若き藩士・香川廣樹に脇崎智史、廣樹の姉・由紀にさとう珠緒と、若手実力派が顔を揃えている。
そしてスタッフも、殺陣は久世浩、照明は宮西孝明、音響効果は伊藤進一と、近年の日本時代劇映画を支える精鋭が集った。
撮影は三重の伊賀、京都の美山、滋賀の朽木、福井の勝山などで全編オールロケを敢行。クライマックスでは、三上監督がこの作品のために結成した“チーム激動”と脇崎智史による雪中の大殺陣という迫力のシーンが繰り広げられる。
三上監督が愛する名作『切腹』や『上意討ち』『仇討』の精神を受け継ぐ重厚で骨太な時代劇。監督の三十数年の想いを込めた『蠢動-しゅんどう-』が、いま激動を起こす。
- 原田大八郎:平岳大
- 荒木源義:若林豪
- 松宮十三:目黒祐樹
- 舟瀬大悟:中原丈雄
- 香川由紀:さとう珠緒
- 西崎隆峰:栗塚旭
- 香川廣樹:脇崎智史
- 重森勝造:細川純一
- 鵜沼一信:芝本正
- 前田家也:増田久美子
- 脚本・監督・編集:三上康雄
- 製作:三上康雄/三上陽子
- プロデューサー:三上康雄
- 原案:三上康雄/近藤誠二(『蠢動』(1982年)より)
- 殺陣:久世浩
- 殺陣助手:山田公男
- 監督助手兼スタント監修:マット奥井
- 撮影:岡田賢三/大淵博道
- 美術:平田俊昭
- 録音:長島慎介
- 照明:宮西孝明
- 音響効果:伊藤進一
- 所作指導:細川純一
- 衣裳:真柴紀子(松竹衣裳)
- かつら:濱中尋吉(山田かつら)
- データ管理 (DIT):大隈文顕
- スチール:渡邊俊夫
- 映像技術:後藤利実
- 整音:小林喬
- タイトル:道川昭
- 音楽:飛鳥峯英
- 演奏:倭太鼓飛龍
- ロケ協力:三重県伊賀市/三重県名張市/滋賀県甲賀市/滋賀県高島市/福井県勝山市・京都府南丹市美山町
- 製作:株式会社三上康雄事務所
- 配給:太秦株式会社