大阪に住む高校生の霜月ちひろ(松永渚)は、父親の隼(ウダタカキ)、母親の春乃(大河内奈々子)、歳の離れた妹のすず、弟の夕樹の5人暮らしだ。
春乃は7年前に隼と再婚し、ちひろと妹・弟の父親は違う。だが、ちひろは妹と弟のためにケーキを作ってあげたり、身の回りの世話をしてあげる“よきお姉さん”だ。親子の仲もよく、隼の休みの日、ちひろは突然の思いつきで隼と一緒に釣りへと出かけ、楽しい1日を過ごす。
そんなある日、ちひろの携帯に隼からのメールが届く。短いその文面は「パパ、お母さんじゃなくて、ちひろのこと好きかもしれん」――。
そのメールは、家族の間に大きな波紋を広げていく。感情を抑えきれないちひろ。娘を案じる春乃。戸惑う隼。家族がバラバラにならないようにちひろが選んだのは、家族が暮らす家から出ていくことだった。
上京したちひろは、弥生(笠原千尋)という女性とルームシェアして暮らすことになる。芸人を目指している弥生は、ちひろの関西弁が気に入り、漫才コンビを組もうと持ちかけてきた。お笑いに真剣に取り組む弥生の気持ちを感じたちひろはコンビ結成を承諾。ふたりは初舞台を目指して練習を始める。
やがて初舞台の日が近づいてくる。いつもヘラヘラとして自分の気持ちを見せないようにしているちひろ。そんなちひろの中に溜め込まれた“はらのうち”は――。
ウチのはらのうち
監督:岩下智香子
出演:松永渚 大河内奈々子 ウダタカキ 笠原千尋 ほか
2013年8月31日(土)よりトリウッドにてロードショー
2013年/カラー/HD/55分
大阪で家族と暮らしていた高校生・ちひろは、ある理由から家を出てひとりで上京し、芸人志望の弥生とルームシェアして暮らしはじめた。いつもヘラヘラと笑っているちひろの誰にも見せない“はらのうち”は――。
専門学校東京ビジュアルアーツと、下北沢の映画館・トリウッドの共同プロジェクト「トリウッドスタジオプロジェクト」は「学生による商業映画の製作」という趣旨のもと、2006年より毎年1本の映画製作を続けている。同プロジェクトの第8弾として公開されるのが、ひとりの女性の“自立”を描いた『ウチのはらのうち』だ。
主人公のちひろを演じるのは、舞台を中心に活躍する松永渚。初の映画主演となる本作では、周りを気にするゆえに自分の気持ちを表に出さないちひろの微妙な心理を巧みに表現してみせた。
そしてルームメイトの弥生には多くの若手監督の作品に出演する笠原千尋。また、ちひろの母・春乃にはドラマ「牡丹と薔薇」の印象も強い大河内奈々子、ちひろの父・隼には若松孝二監督『実録・連合赤軍〜あさま山荘への道程〜』などのウダタカキと、経験豊かな俳優が若手を支えている。
監督は現在19歳の岩下智香子。自身の経験をヒントにしてオリジナル脚本を執筆、映画の中のちひろと同じように、自身と向き合いながら作品を完成させた。
若き監督のパーソナルな部分が反映された作品だが、ちひろの姿に共感する観客は少なくないはずだ。この作品をどう受け止め、なにを感じるか。『ウチのはらのうち』を観たとき、きっとそれぞれの“はらのうち”が見えてくる。
- 松永渚
- 大河内奈々子
- ウダタカキ
- 笠原千尋
- 時谷結
- 外川燎
- 志賀茉結
- 監督・脚本:岩下智香子
- エグゼグティブ・プロデューサー:橋本邦比兒/大槻貴宏
- プロデューサー:日根野晋一/山本達也
- 撮影:明石佳佑
- 照明:千葉弦毅
- 録音:鈴木亮介
- 助監督:早野友喜/角倫太郎/秋枝智美
- 制作主任:前神元紀
- メイク:清水友恵/山本楓/丹野遥
- スチール:阿萬芽衣/井上陽太
- スクリプター・編集:室谷沙絵子
- 音楽:鈴木悟
- エンディングテーマ:the Parachutes
- 宣伝:山崎裕人
- 宣伝ビジュアルデザイン:山田匠真
- 製作:トリウッドスタジオプロジェクト(専門学校東京ビジュアルアーツ/トリウッド)