僕がジョンと呼ばれるまで
監督:風間直美/太田茂
2014年3月1日(土)より東京都写真美術館ホールにて公開 ほか全国順次公開
2013年/HD・DCP/82分
ジョン・ロデマンは、アメリカ・オハイオ州の高齢者介護施設ではたらく青年だ。入居者の多くは認知症で、少し前の出来事さえ忘れてしまう入居者も少なくない。ジョンが入居者に「ぼくの名前を知っていますか?」と質問し、自己紹介をしても、5分も経てばジョンの名前は忘れられてしまう……。
高齢者の認知症は、日本だけでなく海外でも社会が直面する課題となっている。『僕がジョンと呼ばれるまで』は、アメリカの高齢者介護施設で認知症の改善を目指しておこなわれた、ある取り組みを追ったドキュメンタリー映画である。
脳のトレーニングゲームソフトの監修などで知られる東北大学の川島隆太教授は、認知症を改善させるプログラムとして、ごく簡単な読み書きや計算をコミュニケーションを取りながらおこなう「学習療法」を開発した。2011年、海外では初となるこの「学習療法」の実証研究がアメリカでおこなわれた。『僕がジョンと呼ばれるまで』が記録するのはこの実証研究だ。
製作は宮城県のローカルテレビ局・仙台放送。仙台放送では1990年代より認知症の取材を継続しておこなっており、その過程で川島教授とも出会い、教授の研究を番組として紹介してきた。そして、認知症の問題を国内外のより多くの人々に問いたいという考えから、テレビ局によるドキュメンタリー映画製作に乗り出した。
「学習療法の実証研究」という題材を扱いつつも、映画は語り手であるジョンと施設入居者たちの交流を描いた作品として幅広い観客が興味を感じられる内容となっている。認知症の問題が解決するには、まだ多くの時間が必要だろう。しかし、この映画のタイトルが示す「奇跡」を観たとき、誰の心にも希望の光がともるはずだ。
- 監督:風間直美/太田茂
- 構成:武田浩/ROGER PULVERS
- 取材:水野潤
- コーディネーター:本山竜二
- プロデューサー:太田 茂
- エグゼクティブプロデューサー:志伯知伊/佐藤洋彦
- 企画プロデューサー:森本伸雄/澤田滋郎
- アソシエイトプロデューサー:石原江里
- ラインプロデューサー:吉田岳人/風間直美
- 撮影:松本克巳
- 編集監修:平原賢志
- オンライン編集:木村信彦
- オンライン編集補:柴田有希乃
- MA:塩釜亮平/JEFF GATES
- 音響効果:黒田正信
- タイトルデザイン:太田るり子
- 制作助手:吉野京
- 技術協力:コスモ・スペース オブ アメリカ
- 制作協力:共同テレビジョン
- 配給協力:東風
- 製作・著作・配給:仙台放送