「幻肢」――それは、事故などによって手足を失った人が、あたかもそこに手足があるように感じる現象のこと。喪失のショックにより自我が崩壊するのを防ぐ脳の防衛機能であると考えられている――。
気がつくと、神原雅人(吉木遼)はひどい怪我を負い病院のベッドの上にいた。友人の亀井健(遠藤雄弥)は、雅人が車ごと崖から落ちたのだと告げるが、雅人にその記憶はなかった。検査の結果、脳に異常は見られず、家族や友人の名前、大学での研究内容も覚えている。失われていたのは、事故直前の出来事、そしてそのとき一緒にいたはずの恋人・遥の記憶……。
身体の怪我が徐々に回復する一方、遥の記憶を取り戻せない不安から雅人の精神は不安定になっていく。そんな雅人に、亀井は磁気刺激を与え脳を活性化させる治療法・TMS治療を勧める。TMS治療が精神治療に効果があるのではないか? それが雅人の大学での研究テーマだった。雅人は、その仮説を自らを実験台に検証することにした。
川端准教授(宮川一朗太)と亀井の力を借り、TMS治療を受ける雅人。治療を終えたあと、雅人はひとりの女性の姿を目にする。それは、写真でしか知らない恋人・遥(谷村美月)の姿だった。
TMS治療を繰り返すにつれ遥の姿は鮮明になり、会話を交わせるまでになっていく。だがその姿も声も、雅人以外には近くできない。雅人が見る遥は“幻肢”の遥なのだった。
幻肢の遥の出現により、雅人は精神の安定を取り戻し、徐々に事故の日の記憶も取り戻していく。だが、遥の友人・佐々木彩(紗都希)は雅人に謎の言葉をかける。いったい、事故の日になにがあったというのか……。
幻肢
監督:藤井道人
出演:吉木遼 谷村美月 ほか
2014年9月27日(土)より 新宿K's cinemaほか全国順次ロードショー
2014年/カラー/デジタル/スコープサイズ/5.1ch/92分
「御手洗潔シリーズ」「吉敷竹史シリーズ」などで知られる日本を代表する本格ミステリー作家・島田荘司。数多くのベストセラーを生み出しつつもこれまでその著作が映画化されることのなかった巨匠が、初めて映画のために原作を書き下ろした。事故で恋人の記憶を失った青年の奇妙な体験を描くラブミステリー『幻肢』だ!
医大生の神原雅人は車で崖から転落、一命を取り留めたが、彼の記憶からは車に同乗していた恋人・遥の存在が失われていた。友人の勧めで新たな治療法を受ける雅人の前に現れる遥。それは雅人にしか見えない幻の遥だった――。
タイトルの『幻肢』とは、事故などで手足を失った人が失われた手足が存在するかのように感じる現象である。『幻肢』は、脳の防衛機能と考えられる“幻肢”や、うつの治療法としてアメリカで注目されているTMS療法など、精神医学の知識を巧みに盛り込んだ、謎に満ちたストーリーが展開される。
主人公の青年・雅人を演じるのは、舞台を中心に活躍し、これが長編映画初出演にして初主演となる吉木遼。ヒロインの遥役には、デビュー以来多くの作品に出演する若手実力派の谷村美月。そのほか、雅人の親友・亀井に遠藤雄弥、雅人の治療にあたる医学部准教授・川端に宮川一朗太、教授・宮沢に佐野史郎らが脇を固める。
脚本・監督は『オー!ファーザー』で監督デビューした新鋭・藤井道人。プロット作りの段階から原作の島田荘司と意見を交わし、サスペンスフルな演出により観客の心をとらえて離さない本格ミステリー映画を完成させた。
島田荘司作品の初映画化作となる『幻肢』。その衝撃的なラストの先に観客はなにを見るのか――。
- 神原雅人:吉木遼
- 糸永遥:谷村美月
- 亀井健:遠藤雄弥
- 佐々木彩:紗都希
- 川端准教授:宮川一朗太
- 宮沢教授:佐野史郎
- 監督・脚本:藤井道人
- 原作:島田荘司「幻肢」(文藝春秋刊)
- エグゼクティブプロデューサー:佐倉寛二郎
- プロデューサー:山本奈緒
- 撮影:今村圭佑
- 照明:織田誠
- 録音:吉方淳二
- 装飾:大藤邦康
- VFXスーパーバイザー:鹿角剛
- 助監督:丹野雅仁/宮本忠栄
- 製作担当:大和田晃
- 題字:赤松陽構造
- キャスティング:空閑由美子
- 音楽:堤裕介
- 主題歌:さめざめ「それでも生きていかなくちゃ」(ビクターエンタテインメント)
- 製作:映画「幻肢」製作委員会
- 配給:ディーライツ
- 配給協力:エイチ・ツー
- 制作プロダクション:クロスメディア
- 制作協力:バベルレーベル
- 特別協力:文藝春秋
- 特別協賛:三菱レイヨン・クリンスイ
- 宣伝協力:新宿メンタルクリニック/シー・ティー・ワイ