ホームレス理事長~退学球児再生計画~
監督:圡方宏史
2014年2月15日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開
2013年/カラー/HD/110分
東海テレビは2011年以降、自社制作のドキュメンタリーを劇場公開して放映地域以外の人々にも届けている。その「東海テレビ劇場」第6弾作品となるのが『ホームレス理事長~退学球児再生計画~』。高校を中退した球児たちに野球と教育の場を与える目的で設立されたNPO・ルーキーズに集まってきた球児たちと、ルーキーズに携わる大人たちに迫った作品である。
高校の野球部での活動がうまくいかず学校を中退した17歳の少年は、ルーキーズでもほかのメンバーとの関係に悩みを抱える。彼が自傷行為までおこしたことを知ったチームの監督は、彼を平手で何度も殴りつける。
一方、ルーキーズの理事長は赤字続きのルーキーズを存続させるべく金策に走り回る。家賃滞納でアパートを追われ、ネットカフェに寝泊まりしながら寄付金集めに励む理事長は、とうとう取材スタッフに頭を下げて借金を申し込む。土下座する理事長とスタッフの戸惑いをカメラは映していく。取材者と被写体がどう関わっていくのかは、ドキュメンタリーが抱える永遠の命題である。この衝撃的なシーンは、まさにドキュメンタリー永遠の命題を象徴するシーンともなっている。
この作品は2013年1月に47分のテレビ版として東海三県で放映されたが、放映後に東海テレビのウェブサイトには批判的な意見が数多く寄せられた。特に視聴者の反発を招いたのは、チームの監督が少年を平手打ちするシーンだった。理事長の姿勢にも批判が集まり、多くの批判の結果として、この作品が全国放送される可能性は消滅した。その「問題作」が未公開シーンも加えた110分の作品として劇場公開される。取材者と被写体の関係、制作者と視聴者の関係はどうあるべきなのか。『ホームレス理事長~退学球児再生計画~』は、現代におけるドキュメンタリーのあり方を問いかける。
- 監督:圡方宏史
- プロデューサー:阿武野勝彦
- 撮影:中根芳樹
- 音声:栗栖睦巳
- 効果:久保田吉根
- TK:河合舞
- 編集:高見順
- 音楽プロデューサー:岡田こずえ
- 音楽:村井秀清
- 制作・配給:東海テレビ放送
- 配給協力:東風