
中学2年の坂本君は成績優秀な優等生だけど、ひとつ問題があった。自分が必要ないと考えた授業は勝手に欠席してしまうのだ。周りはそんな坂本君を容認しているのだが、担任の聡子先生だけは坂本君の態度が許せない。なんとか坂本君を授業に出席させようと聡子先生の奮闘が始まる……。
熱意はあるけど融通の効かない若い教師と、独自の理屈で行動する天才中学生の奇妙な「戦い」をテンポよくポップに描いた『坂本君は見た目だけが真面目』は、多くの映画人を輩出する映画美学校の脚本コースから生まれた作品だ。
脚本を執筆したのは、現在は同校脚本コース2期高等科に在籍する鳥居雅子。講師をつとめる特殊脚本家・小中千昭の指導のもと初等科在籍時に本作の脚本を執筆、学内のコンペで映像化作品に選ばれた。
同校講師の高橋洋、篠崎誠も映像化を望んだ脚本を監督したのは大工原正樹。監督のほかプロデュースも兼任し、既存のジャンルには当てはまらないような独特の味わいを持ったエンターテイメント作品を完成させた。
『つやのよる』『新大久保物語』などの若手女優・藤本泉が、熱意があるゆえに暴走してしまう教師を好演。そして俳優・津田寛治の監督作『カタラズのまちで』で主演をつとめた伊藤凌が坂本君のマイペースさを見事に表現してみせた。そのほか『先生を流産させる会』の宮田亜紀や、お笑いコンビ・ミルククラウンで活動していたジェントル、個性派の大久保了らが共演。また、碇本和明、斉藤結女、上村明穂らの若手キャストが2年A組の生徒をいきいきと演じている。
独特の発想のシナリオと巧みな演出、魅力的なキャストにより、幅広い観客が楽しめる快作が誕生した。

5月。2年A組の担任である中学教師・小林聡子(藤本泉)はひとりの生徒に手を焼いていた。その生徒は坂本俊(伊藤凌)。坂本は、しょっちゅう勝手に授業を欠席してはどこかに行ってしまうのだ。
1年のときの坂本の担任・長崎先生(ジェントル)やほかの教師たちによると、坂本は理数系の教科と英語の授業にしか出る気がないらしい。それでも坂本は成績優秀で授業をサボる以外には目立った問題もない。長崎先生たちは坂本の好きにさせておけばいいという態度なのだが、聡子はどうしてもそれに同意できない。
坂本が学校を抜け出したときに自宅に帰っていると知った聡子は、坂本の自宅を訪れることにした。母親の美恵子(宮田亜紀)の案内で部屋に入った聡子が見たのは、真剣にロボットを組み立てる坂本の姿だった。坂本は自宅で本格的なロボット作りに励んでおり、ロボット作りに必要と考える授業だけに出席していたのだ。
聡子は学校生活の大切さを熱く語り、坂本が授業をサボるのをやめさせようとするのだが、坂本にはまるで効き目がない。そして坂本が発したある一言が、聡子に火を付けた……。
6月。聡子のとった行動によって、2年A組にも坂本にも変化があった。だがそれでおとなしくなる坂本ではない。坂本の技術と知識と計算を動員した反撃が聡子を待っていた!
7月。2年A組の生徒たちは、聡子が学校を辞めるという噂を耳にするのだが……。聡子と坂本の「戦い」は、一体どこに向かうのだろうか?