無伴奏
監督:矢崎仁司
出演:成海璃子 池松壮亮 斎藤工 ほか
2016年3月26日(土)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー
2015年/カラー/16:9/5.1ch/132分|R15+

反戦運動や学生運動が盛り上がる1969年。その流れに身を委ねるように運動に身を投じていた仙台の高校生・響子は、偶然出会った大学生の渉やその友人たちに導かれるように、それまで触れたことのない世界や“恋愛”を知っていく――。
高揚したような熱が全国を包んでいた時代。その中で生きる若者たちの恋愛を激しく、切なく、そして美しく描き出すラブストーリーが『無伴奏』だ。直木賞作家・小池真理子が自身の高校時代をもとに書いた半自叙伝的な同名小説を原作に、これまで『三月のライオン』や『ストロベリーショートケイクス』などを手がけてきた矢崎仁司監督が映画化に挑んだ。
主人公の響子を演じるのは、数々の作品で主演をつとめ実力派若手女優としての評価をたしかなものとしている成海璃子。本作『無伴奏』では、響子の感じる焦燥感や空虚さ、さらに恋愛に触れた響子の戸惑いを繊細に演じてみせた。また、大胆なラブシーンにも挑み、ひとりの女性の変化を鮮やかに表現する。
そして、響子の恋人となる渉のナイーブさと翳を『ぼくたちの家族』『紙の月』で多くの映画賞を受賞した池松壮亮が巧みに表現し、幅広い作品で活躍する斎藤工が渉の友人・祐之介役でミステリアスな魅力を見せる。ファッション誌専属モデルとしても活躍し本作で祐之介の恋人・エマ役に抜擢された遠藤新菜の存在感も注目だ。そのほか、光石研、藤田朋子、斎藤とも子と、ベテラン俳優陣が脇を固めている。
舞台となった当時を再現したファッションや各地で敢行されたロケ撮影による風景は、ヴィジュアルだけでなく1969年から71年の空気までをも伝える。『無伴奏』は、スクリーンの中にひとつの「時代」を存在させる。

1969年4月。全国で学園闘争が盛んになり、その風は仙台にも強く吹いていた。女子校に通う高校3年生の響子(成海璃子)も、友人と3人で生徒の服装の自由を勝ち得ようとする「制服廃止斗争委員会」を結成して活動をおこなっていた。
友人に誘われて「無伴奏」という名のクラシック喫茶に入った響子は、そこで大学生の渉(池松壮亮)と、渉の友人で同じく大学生の祐之介(斎藤工)、祐之介のガールフレンドのエマ(遠藤新菜)と知り合う。歳上の渉たちとともにタバコをくゆらせ、友人には話題の女性活動家の呼び名にちなんで「私たちのゲバルト・ローザ」と紹介される響子。だが、響子の中には、自分の活動は所詮誰かの真似だという想いがあった。
それから2ヶ月。学生デモに参加してケガを負った響子は、駆け込んだ「無伴奏」で渉と祐之介のふたりと再会する。改めて自己紹介し会話を交わした響子と渉たちは、それから親しさを増していく。
渉たちと親しくなった響子は、渉が暮らす小さな茶室へと招かれ、渉と祐之介、エマとともに時間を過ごす。やがて祐之介とエマは響子の前で体を重ねはじめ、思わず部屋を飛び出した響子は、追いかけてきた渉と唇を重ねた――。
渉のガールフレンドとして、渉と祐之介、エマと一緒に行動することが増えた響子だったが、渉との肉体的な関係は持っていなかった。11月、響子は渉から姉の勢津子(松本若菜)を紹介されるが、恋人のように振る舞う渉と勢津子の姿が気になってしまう。そして響子の誕生日、部屋に来た渉は響子を求めるが、勢津子の存在が引っかかる響子は渉を拒んでしまう。
年が明けた1月、響子は渉のそばにいるため高校を卒業しても仙台に残るつもりであることを渉に告げる。そして――。