注文靴と靴修理の店で働いている韓国人青年のレオン(レン)。過去に自分の行動が引き金となったある出来事を引きずっているレオンは、小風秋子(青柳文子)たち店の同僚たちと打ち解けることもなく、休憩時間になるとひとり店の近くのベンチに座り食事をする毎日を送っていた。
ある日、レオンがいつものベンチに行くと、そこにはひとりの若い女性(韓英恵)が寝転んでいた。酔っ払っているらしいその女性は、レオンに韓国語で「私が見える?」と尋ねると、踵の折れたハイヒールを脱いで裸足となり立ち去っていった。その日の閉店間際、レオンは一足のハイヒールの修理を任される。その靴は、あの女性が履いていた靴だった。
翌日、あの女性のことが気になるレオンは、修理依頼の伝票に書かれた名前と住所を頼りにサンス(ミンヒョン)という男性が住むアパートを訪ねた。部屋を出たサンスのあとをつけたレオンは、あの女性・ソナとサンスが同じコンビニでアルバイトをしていることを知る。レオンは、ソナが仕事を終えるのを待つと帰宅する彼女のあとをつけていく。そしてレオンは、それから毎日仕事を終えるとソナのアパートへ向かい彼女の部屋を見つめるようになる。
ひそかにレオンに想いを寄せている秋子は、レオンの奇妙な行動に気づいていた。その秋子は、以前ハイヒールの修理を依頼しに店に来たサンスから、一目惚れをしたと告白される。
レオンと、ソナと、秋子と、サンス。さらに、ソナの恋人のジウ(JR)、サンスとジウの通う日本語学校の講師・加奈子(木南晴夏)、加奈子の恋人・荒川(芹澤興人)。それぞれの想いを“知らない”7人の関係は、複雑に絡まり交錯していく……。
知らない、ふたり
監督:今泉力哉
出演:レン 青柳文子 ミンヒョン 韓英恵 JR 芹澤興人 木南晴夏 ほか
2016年1月9日(土)より 新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2015年/カラー/ビスタサイズ/3ch/106分
偶然出会った名前も知らない女性のことが気になる青年。だが青年は、ひそかに彼に想いを寄せる人がいることを知らない。そして、青年に想いを寄せる彼女もまた……。東京の片隅で、それぞれの想いを「知らない」7人の男女が織りしていくすれ違いの恋愛群像劇、それが『知らない、ふたり』だ。
脚本と監督は、インディーズ時代からリアルな恋愛を描き、2014年公開の『サッドティー』がロングヒットを記録した新世代の恋愛映画の旗手・今泉力哉。『知らない、ふたり』では、ワールドワイドに活躍する韓国発ボーイズグループ・NU'EST(ニューイースト)をキャストに迎え、日韓の男女の想いが交錯するストーリーを紡ぎだした。
物語の中心となる靴職人見習いで陰のある青年・レオンをミステリアスに演じてみせたのは、NU'EST最年少のレン。レオンと同じ店で働き彼に想いを寄せる女性・秋子には『サッドティー』ほか今泉作品常連の女優でファッションモデルの青柳文子。レオンと偶然に出会う韓国人女性・ソナに『アジアの純真』などの韓英恵。ソナのバイト仲間・サンスにはNU'ESTのミンヒョン。ソナの彼氏・ジウにはNU'ESTのリーダー・JR(ジェイアール)。語学学校講師の加奈子に『20世紀少年』シリーズなどの木南晴夏。加奈子の恋人・巳喜男に多くの若手監督の作品に出演し『福福荘の福ちゃん』で注目を集めた芹澤興人。個性あふれる7人に加え、NU'ESTのベクホとアロンも出演、NU'ESTメンバー全員が出演を果たしている。
まるで現実の会話を切り取ったような登場人物たちのやり取りに漂う、人を好きになることの可笑しさや哀しさ。その機微が胸をくすぐる、今泉映画のひとつの到達点というべき作品だ。
- キム・レオン:レン
- 小風秋子:青柳文子
- ナム・サンス:ミンヒョン
- ハン・ソナ:韓英恵
- ユ・ジウ:JR
- 荒川巳喜男:芹澤興人
- 幸田加奈子:木南晴夏
- 監督・脚本:今泉力哉
- プロデューサー:紀嘉久/Yan Sonju
- ラインプロデューサー:飯塚信弘
- 撮影監督:岩永洋
- 美術:飯森則裕
- 録音:根本飛鳥
- 音楽:alp
- 主題歌:NU'EST「Cherry」
- 製作:日活/ソネットエンタテインメント/アリオラジャパン
- 制作プロダクション:ジャンゴフィルム
- 配給:CAMDEN/日活
- 宣伝:CAMDEN