
深夜、人気のない研究所の一室。研究員の長谷川高志(万田祐介)は、自分の頭に眼帯のような装置を取り付けパソコンに向かっていた。机の上には頭に装置を取り付けられたネズミ。パソコンの画面にはふたつの波形が映しだされ、その波形は次第に同期して重なり合っていく。そして、ネズミは高志の指に操られるかのように動きはじめる……。
高志は、研究所のチームの一員として脳波で機械の動きを制御する研究に取り組んでいるが、同じ研究チームの女性研究員・木下萌(宮本なつ)は、高志が深夜に独自の実験をおこなっていることに気づいていた。高志のその実験は、ヒトと動物の脳波を同期させるという無認可の研究で、高志から研究内容を聞き出した萌は、高志の実験への協力を申し出る。高志と萌は深夜の研究所でひそかに実験を重ね、やがてふたりは男女の関係となっていく。
実験に使ったネズミを調べていた高志と萌は、実験によりネズミの脳が通常より発達していることに気づく。萌は実験が脳機能障害を改善させる可能性に期待を膨らませ、高志はさらに別の期待を抱いていた。高志の母親・春子(美谷和枝)は重い認知症となり、もう息子の高志の記憶すら失っている。この実験は、春子の認知症を治せるのではないか?
高志は、介護施設でトラブルを起こした母親を施設から連れ帰り、自分と母親の脳波を同期させる実験に取り組みはじめる。ヒトとヒトの脳波を同期させるのが倫理に反する実験であると知りながら実験に没頭していく高志と、高志への想いゆえに彼に協力していく萌。だが萌はその危険な実験がもたらす結果に気づき、実験をやめさせようとする……。
男女の愛、親子の愛、狂気の実験。高志たち3人は、どこに導かれていくのだろうか?