胴体だけの男性の人形=トルソを密かな心のよりどころとして暮らす地味な女性を主人公にした映画『トルソ』が7月10日にユーロスペースで初日を迎え、山崎裕監督と主演の渡辺真起子さん、共演の安藤サクラさんとARATAさん、音楽を担当した松本章さんが舞台あいさつをおこないました。
『トルソ』は是枝裕和監督作品をはじめ、多くの映画でカメラマンをつとめてきた山崎監督の初の監督作。上映前に登壇し客席からの大きな拍手に迎えられた山崎監督は「ひょっとして(観客が)2、3人ということだったら嫌だなと思っていたんですが、小屋がいっぱいになって嬉しく思っています」とあいさつ。主演の渡辺さんの起用について「真起子さんとは諏訪(敦彦)さんの『M/OTHER』の現場でお会いして、監督のいない『短編 TANPEN』という映画でも一緒にやっています。真起子さんはスクリーンの中に存在するあり方がすごく印象に残る女優さんで、カメラマンとしても魅力を感じていました」とコメントしました。
「今日(初日)を迎えるまでに2年かかりました。感慨無量です」とあいさつした渡辺さんは「山崎監督とまったくゼロから作品を構築していく時間というのは得がたいものだったなあと。人としてとても大きな経験になっているかなと思っています」と振り返りました。
また、山崎監督が撮影監督をつとめた是枝裕和監督『ワンダフルライフ』で俳優としてデビューしたARATAさんは「山崎さんは、言ってみれば自分がゼロの状態をフィルムに焼き付けてくれた方であり、この作品に呼んでいただいたとき嬉しく思いましたし、同じくらいプレッシャーもありました。撮影は充実とともに緊張した1日でした」とコメントしました。
『トルソ』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった、山崎裕監督、渡辺真起子さん、安藤サクラさん、ARATAさん、松本章さん(左より)
「今回は役者さんにおんぶに抱っこの新人監督なんで(笑)」と笑顔を見せた山崎裕監督
打ち合わせでは監督に対して「なに言ってんだ!」みたいなこともあったという渡辺真起子さん
「大好きな山崎さんと渡辺さんに勝手に頼りながらやらせていただた感覚です」という安藤サクラさん
「(渡辺さんと安藤さん)おふたりを映す監督の視点に、優しさと厳しさを感じてました」とARATAさん
音楽を担当した松本章さんは三線を奏でつつのあいさつ。「目で聴いてください」と力強く訴えました
舞台あいさつではサプライズとして渡辺真起子さんから山崎監督に花束が贈呈されました
山崎監督は「映画は完成してからもう2年経ちましたが、観る人それぞれの中で育っていくものだと思っております、みなさんの中でこの映画を育てていただければ嬉しいと思っています」と舞台あいさつを締めくくりました。
『トルソ』は、7月10日(土)よりユーロスペースにてレイトショー上映されています。