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35分ワンカットの撮影は「気絶するかと思った」:『ギリギリの女たち』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった小林政広監督、渡辺真起子さん、中村優子さん、藤真美穂さん(左より)

 渡辺真起子さん、中村優子さん、藤真美穂さんの女優3人が三姉妹を演じる小林政広監督の新作『ギリギリの女たち』が7月28日に初日を迎え、渋谷ユーロスペースで渡辺さんと中村さん、藤真さんと小林監督が舞台あいさつをおこないました。
 『ギリギリの女たち』は、震災をきっかけに気仙沼にある実家に集まった3人の姉妹が、ときにぶつかりあいながら生活をともにする中で3人に訪れる変化を描いた物語。
 撮影は震災から間もない昨年8月に、震災の被災地であり小林監督の居宅がある宮城県気仙沼市唐桑でおこなわれており、小林監督は「(現地に)行ってからが(考えていたのとは)大違いで“ここで映画作るのか?”みたいな惨状でしたね。ずいぶん悩んだんですけど、地元の人が反感を持っているかと思ったら“こういうときだからこそ映画の撮影みたいな非日常のイベントがあってもいいんじゃないか”と背中を押してくれて、やっとやろうと思えた」と撮影当時の心境を語りつつ「そのときのぼくらの想いとかはどうでもいいことで、映画を観て楽しんでもらえればと思います」とコメントしました。
 『ギリギリの女たち』は全編101分で総カット数28カットとカット数の少なさが特徴のひとつ。特に映画冒頭はなんと35分ワンカットで撮影されており、中村さんは「これはたしか監督のお言葉だったと思うんですが“気絶するかと思った”と(笑)。あまりの緊迫感に、確実に現場が息が詰まった状態なんですよね」と振り返り、渡辺さんも「暑いし、緊張しすぎて気は遠くなるし(笑)」と苦笑い。
 また、小林監督作品初出演となる藤真さんは「いつ電光石火のごとく(監督の)怒鳴り声が来るかということに日々脅え(笑)、いまに至るまで監督と真紀子さんが夢に出てきた回数といったら10回は越えています(笑)」と、撮影の厳しさを笑いを交えて語りました。

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「映画は、きっとお客さんを得たときに少し先に進むと思います。私も今日、初日を迎えることができて、一緒に先に進めたらいいなと思います」と長女・高子役の渡辺真起子さん

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「土地が人に影響を与える力は想像以上なのかなと感じています。この映画は、土地と人との関係、それから家族の物語かなと思っています」と次女・伸子役の中村優子さん

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「すごい題名ですし、インパクトのあるポスターですけど、特に女性は、観終わったときにうっかりスキップできちゃうような作品だと思います」と三女・里美役の藤真美穂さん

 中村さんは撮影後にご懐妊されており、この日は「出産“ギリギリ”です(笑)」と大きなお腹を抱えての登壇。「映画の中でとても大好きな“子供作るぞ!”というセリフをいただいて叫んでいるんですけど、そのあと無事にこんな感じになって(笑)、ありがとうございます」と喜びの表情を見せました。

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「低予算の映画を作ることになって、古い台本を思い出して“これだったらそんなにお金をかけずに作れるんじゃないか”と始まったんですが、それが運のつき(笑)」と小林政広監督

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大きなお腹で舞台あいさつをおこなう中村優子さん(中央)。渡辺真起子さん(左)と藤真美穂さんもたびたび嬉しそうな表情を覗かせての舞台あいさつとなりました

 舞台あいさつの終わりには、小林監督は「作ってるスタッフ・キャストの生き様みたいなものがどうしても映画をつくっていると出てきますが、それがわりとむき出しに出てくる映画です。良かれ悪しかれ、ぼくらのあのときの精一杯の表現かなと思っています」と、改めて作品に込めた想いを語りました。

 「とても不恰好な家族の物語ではありますが、そんな家族でもいいんじゃないか、語りかける相手がいたという少し幸運な物語かもしれない」と渡辺さんが語る『ギリギリの女たち』は、7月28日(土)より渋谷ユーロスペース、シネ・リーブル梅田で上映中。ほか、全国順次公開されます。

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