「野良犬」の異名をとった元キックボクシングチャンピオン・小林聡さん企画・出演の映画『名無しの十字架』が12月１日に銀座シネパトスで初日を迎え、主演の神尾佑さん、久保直樹監督らが小林さんとともに舞台あいさつをおこないました。
『名無しの十字架』は、しがないプロレスショップ店長・三上が、虎と人間の闘いを撮影した地下ビデオを探す中で、失踪したキックボクサーの謎に巻き込まれていくミステリータッチの作品。
三上を演じた神尾さんは俳優として長いキャリアを持っていますが映画主演は初めて。「この歳になって初めて映画の主演をさせていただくのはほんとに光栄ですし、役者を続けていてよかったなというのは正直な感想なんですけど、真夏の炎天下にものすごいタイトなスケジュールでやっていたので、暑かったのと眠かったのが一番（の記憶）ですかね」と初主演作の撮影を振り返りつつ「ぼくよりもスタッフさんが寝てなかったので、みなさんよくがんばっていただいたなと思います」と映画のスタッフを労いました。
郷一郎さんの原作小説を読み、自ら企画して映画化を実現させた小林さんは「郷先生に“これは小林さんの作品ですから”と言っていただいて、是が非でも（映画を）やろうと思ってガムシャラにやってきました。超一流のスタッフと役者さんを集めていただいて、ぼく以外は超一流の方でほんとにがんばるしかなかったです(笑)」と作品への想いを語りました。また、小林さんは元キックボクサーの新崎役で出演もしており「現役時代とは体が違っているので人生初のプロテインを飲んでウェイトトレーニングで体を作ったんですけど、そしたら（役作り上）やせなくてはいけなくて、下剤を飲んだりして」と、俳優としての苦労も覗かせました。
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元キックボクサーの熱い想いが実現させた和製ハードボイルド：『名無しの十字架』初日舞台あいさつ
舞台あいさつに登壇したメンバーでガッツポーズ！ 左より、久保直樹監督、松尾れい子さん、神尾佑さん、小林聡さん、和田聰宏さん、カラーボトルの３人（竹森マサユキさん、大川“Ｚ”純司さん、渡辺アキラさん）
役を演じるにあたり「脚本を読んでからぼくの意見も言わせていただいて、どんなキャラクターか探り探りではあったんですけど、監督にもフレキシブルに対応していただけてよかったと思っています」という三上哲平役の神尾佑さん
「ここにくるまでにいろいろなことがありまして、燃え尽きて真っ白な灰になったという意味で髪を白くしてみよう思っていたんですけど(笑)」とジョークを飛ばして会場の笑いを誘った企画＆新崎真太郎役で出演の小林聡さん
謎めいた役で「三上さんとの掛け合いの中でどれくらい謎を出していくかが心理戦みたいなもので、でも神尾さんとは旧知の仲なので、そういうこともあって芝居としてはやりやすかったです」という柳瀬雪江役の松尾れい子さん
劇中ではサイケ調の衣裳に身を包んで裏の情報に精通するショーン河合を演じた和田聰宏さんは「自分で（完成した作品を）観てみたらなんか気持悪かったので、あんまりぼくの好きなキャラクターではない(笑)」と告白
「今年企画が上がって今年上映という映画で、ほんとにバタバタしながら撮影したんですけど、キャストとスタッフ、みなさんのおかげで今日上映することができました。ほんとにありがとうございます」と久保直樹監督
主題歌「やぁ、野良犬」を歌うカラーボトルの竹森マサユキさん、大川“Ｚ”純司さん、渡辺アキラさん（左より）。竹森さんは「希望の歌、ひとりの人間が見える曲を作りたかった」と主題歌に込めた想いを語りました
主題歌を担当したカラーボトルのボーカル・竹森マサユキさんは、主題歌の歌詞がなかなかできあがらなかったことを明かし、映画クランクアップ後に小林さんと会い、もらった名刺の「野良犬」という文字に触発され「泥臭く、人間らしく、地に足を付けて一歩一歩歩いていく歌がぼくたちなら作れるんじゃないかという想いで歌詞を書いたのが『やぁ、野良犬。』という曲です」と、主題歌誕生の秘話を語りました。
横浜を舞台に、久保監督が「昔の探偵もののドラマのような雰囲気」を狙ったという魅力的な和製ハードボイルド『名無しの十字架』は12月１日(土)より銀座シネパトスにてロードショーされています。